それでも時たま、偶然出逢った猫に、熱い思いがたぎってくることがあります。
これは、そんな猫の一つでした。磁器でできた小判乗り猫です。
小判を積み重ねた上に乗った猫、どんな背景を持ち、どんな猫人生を送って来た招き猫かはわかりません。
横から見た猫背の姿にも、貫禄があります。
「猫に小判」とは、分不相応、価値もわからないものを持っていても、役にも立たないという意味です。
ではどうして猫に小判を、しかもこんなにたくさん持たせているのでしょう?
白い小判乗り招き猫は、以前、日本招猫倶楽部で復刻されたもので、オリジナルは昭和初期につくられ、すでに廃絶してしまったものです。
黒猫と復刻猫を比べてみると、小判の山に乗っているところに加えて、スリムなところ、首輪に鈴が三つついているところなど類似点があります。
表面の細かい凹凸で毛並みをあらわしているところも、共通しています。
もしかして、同じ窯場(工場)でつくられていたものでしょうか?
それに比べると、小さい猫も小判に乗っていますが、雰囲気は明らかに違います。
小さい猫の片耳は地震で欠けました。
来たる2014年も、招き猫たちは福を招き続けてくれることでしょう。
激動の時代、世界の誰もがやすらかに暮らせることを祈ります。