いつもはのぞいて、目の保養をするだけの私ですが、先日目薬のビンを買いました。ついでに、染料ビンを持っていないか訊いてみると、
「あったはずだなぁ。何もついてないけれど」
と探してくれたのは、汚れた糊ビンや薬ビンたちがごちゃ混ぜになっている段ボール箱の中でした。一つは簡単に見つかりましたが、もう一つは見つかりません。
「二つあったはずだがなぁ。確かフジなんとか」
と、ほかの箱も一生懸命探してくれたのに、出てきたのは一つだけでした。
そして、エンボス(陽刻)もありました。
この調子だと洗剤もいらないと、水を替えながら洗うこと数回、すっかりきれいになりました。
口の縁には、コルク栓を留めていた蝋が残っていたのですが、それも取りました。
さすが大手の染料会社、ビンもゆがんだり泡が入ったりしていませんが、それはそれで素敵なものです。
みやこ染のビンが広口になり、蓋がねじ式になったのはいつのことでしょう?
1946年(昭和21年)に、横書きはそれまでの「右から」から「左から」になり、旧仮名遣いは新仮名遣いに変更されているので、このビンは戦前のものであることは間違いありませんが、大正か昭和かはわかりません。
ただ、ねじ式のビンよりは古いので、大正時代のものでしょうか。
みやこ染を発売する桂屋では、関東大震災に続く東京大空襲で、古い資料はすべて焼失してしまって、昭和30年以前の古い資料は全くない状態だということです。
昭和30年と言えば、戦後10年も経っています。この10年はどうしたのか?たぶん事業を立て直すのに精いっぱいで、古いことを振り返る余裕などなかったということでしょうか。
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