2019年4月8日月曜日

みやこ染

骨董市に月に一度だけ来る(骨董市自体は月に2回ある)わじまさんは、飴屋ビン、剣先コップ、かき氷の器などなど持っていて、ガラスコレクターらしき人たちがひっきりなしに群がって嬉しそうに話し込んでいる、ガラスの骨董屋さんです。
いつもはのぞいて、目の保養をするだけの私ですが、先日目薬のビンを買いました。ついでに、染料ビンを持っていないか訊いてみると、
「あったはずだなぁ。何もついてないけれど」
と探してくれたのは、汚れた糊ビンや薬ビンたちがごちゃ混ぜになっている段ボール箱の中でした。一つは簡単に見つかりましたが、もう一つは見つかりません。
「二つあったはずだがなぁ。確かフジなんとか」
と、ほかの箱も一生懸命探してくれたのに、出てきたのは一つだけでした。


何もついてないどころか、みやこ染のビンはラベルが残っていました。


そして、エンボス(陽刻)もありました。
   

さて、ラベルを濡らさないようにビンをざっと洗ってみようかと、水を入れてみると、さすが染料、すぐに溶けて茶色い水ができました。
この調子だと洗剤もいらないと、水を替えながら洗うこと数回、すっかりきれいになりました。


口の縁には、コルク栓を留めていた蝋が残っていたのですが、それも取りました。
さすが大手の染料会社、ビンもゆがんだり泡が入ったりしていませんが、それはそれで素敵なものです。

みやこ染のビンが広口になり、蓋がねじ式になったのはいつのことでしょう?
1946年(昭和21年)に、横書きはそれまでの「右から」から「左から」になり、旧仮名遣いは新仮名遣いに変更されているので、このビンは戦前のものであることは間違いありませんが、大正か昭和かはわかりません。
ただ、ねじ式のビンよりは古いので、大正時代のものでしょうか。

みやこ染を発売する桂屋では、関東大震災に続く東京大空襲で、古い資料はすべて焼失してしまって、昭和30年以前の古い資料は全くない状態だということです。
昭和30年と言えば、戦後10年も経っています。この10年はどうしたのか?たぶん事業を立て直すのに精いっぱいで、古いことを振り返る余裕などなかったということでしょうか。











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