2010年3月2日火曜日
マレーの籠
民族としてのマレー人は、マレーシア、インドネシアだけでなく、フィリピン、そして東は台湾から、西はマダガスカルまで、広域に暮らしています。すぐれた海洋民族で、かつて小さな舟を操って、どこまでも海を渡っていた人々です。
竹やラタンを斜め綾に編んでいく、籠つくりの技にも、独特のものがあります。
上の、直径17センチほどの、マレーシアの籠は、ただのお土産品ですが、丁寧なつくりです。4本のフレームで強度を出して、わずか1ミリほどの幅の細いひごで一重に編んであります。薄くて細いひごですから、触るとペコペコしますが、フレームががっちりしているので、しっかりとしたつくりです。
インドネシアの籠、収穫・収集籠と思われます。二重に編み、内籠で強度を出して、外籠の細いひごで装飾しています。模様は、植物をモチーフにしたものでしょうか、それぞれの模様にはすべて意味があり、魔よけの意味を込めて編んであります。
アップして見ると、ひごには多少、太い細いがありますが、それでもこの模様の細かさは、見事なものです。
マレーシアの、実用的な収穫・収集籠です。上記2点に比べると、太いラタンで編まれています。この籠は、フィリピンの北ルソンに住む人たちの籠に通じるものがあります。
籠は縁や底から傷んできますが、縁は、たぶん板を薄くしたもの、へぎ板(もしかしたら、太いラタン)をラタンでジグザグに編みつけて、強度を持たせています。ジグザグは木にかかる力を分散させるためですが、模様にもなっています。
たぶん木の節があったと思われるところには、最初からか、途中からかわかりませんが、丁寧な補修がしてあります。これは、サラワク州の州都クチンのおしゃれなホテルに、ちょっと場違いな感じで置いてあったものです。
泊まったわけじゃない、どうしてそのホテルに行ったのかは、遠い昔のことで忘れましたが、ホテルの一室では着飾ったスルタンたちが集まりを開いていました。その衣装たるや、舞台衣装のように美しいものでした。
女性が華やかに着飾るのに比べると、男性はあっさりしているところが多い中で、マレーシアのスルタンたちは、女性も、男性も皆、ため息の出るような、美しい布でできた、衣装や髪飾りをまとっていました。金糸、銀糸を織り込んだ、特別に織り上げた衣装のようでした。
サラワクの、バラム川を上って行った村の女性が、箕を編んでいるところです。箕も、米を入れて運ぶ籠も、とても素敵なものでした。船を乗り継いで、やっと到達するような、雑貨屋もない村ですが、美しい手づくりのものを生活にちりばめて、仲良く、暮らしていました。
手と足が黒く見えるのは、伝統的な刺青をしているからです。彼女たちは先住民で、カヤン人と名乗っています。
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