2010年4月12日月曜日

日本の背負子



このあたりのおばあちゃんたち、亀甲編みの背負子に、鎌やおやつを入れて畑に行きます。我が家でも、万能木工機の周りにたまる鉋屑や、落ち葉を片づけるのに、特大の亀甲編みの背負子は欠かせません。年中活躍しています

これは、荒めの亀甲の中に、もうひとつの籠を編みこんだ背負子で、骨董市で手に入れました。中の籠、竹の皮と皮ではない側を交互に見せています。時間とともに、竹の皮と身では色の深まり具合が違い、模様のようになっています。




紐は、籠を編んだ人がつけたのでしょうか?材料がわからないのですが硬いもので、途中から幅を広くしてある、その広くし方が、なかなか装飾的です。
普段使いにはちょっと重い気もしますが、大切に使われてきたもののようです。




宮崎県の山間部、日之影のかるいです。背負って、急峻な山を下るときに邪魔にならないよう、また、斜面にも安定して置けるよう、下が薄くなった独特の形をしています。
夫が、近所の人から、「枯れはじめたから、好きなだけ切っていいよ」、と言われた松の木をチェーンソーで切り倒しているとき、かるいに入れて、お茶とおやつを運んだら、倒した木を乗り越えて行ったりするのに、確かに便利でした。
長野県生まれなのに、かるいに魅せられて日之影に定住し、籠師になった小川鉄平さんに、数年前につくっていただきました。




上から見ると、美しい楕円形をしています。竹のリズムが伝わってくるようです。つくっていただいたときは、薄い緑色で、それはそれはきれいでしたが。年月を経て、茶色くなってきました。




稲わらの紐も、小川さんがつくったものです。紐だけでも、年季がいりそうです。

日之影には、小川鉄平さんのお師匠さんである飯干五男さんや、名人という呼び方さえ陳腐に聞こえる、廣島一夫さんがいらっしゃいます。




廣島さんの作品集、『A Basketmaker in Rural Japan』(ルイーズ・コート、中村憲治著)が、『山里の竹籠職人』として翻訳・発行(2009年)され、日之影町内の高橋書店(0982-87-2018)で取り扱われているそうです。
熱心に日之影の籠文化の保存活動に努められた中村さんは、残念ながらお亡くなりになりましたが、96歳の廣島さんはご健在です。



2 件のコメント:

  1. 「かるい」本当に便利な道具です。 人間工学に合ったと言っても良いくらい使い易いです。昔の人は、本当に頭が良いですね。

    ちなみに、日之影町は隈本県ではなく、宮崎県です。
    そして「かるい」は、杵郡地区(日之影町・五ヶ瀬町・高千穂町)で広く使われています。

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  2. 匿名さん
    ありがとうございました。とんでもない間違い。先日も都城の人が来て背負子の話になり、宮崎の日之影にかるいがあると話していたばっかりなのに、こんな間違いをしていたとは...。ありがとうございました。さっそく訂正しておきます。
    かるい、最近はあまり背負うほど歩かなくなりましたが、ほんとうに楽ちんです。
    気持ちの上で、なんとなく熊本に近いと思っていたのでしょうか。まさかの間違いでした。

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