2010年9月23日木曜日
握り鋏
小学校も高学年になると、家庭科の授業がはじまり、みんなでおそろいの裁縫セットを、用意したものでした。
裁縫箱は、私のころはセルロイド、息子たちのころにはプラスティックでしたが、中身は似たようなもの、糸切り用には、もちろん小さな握り鋏が入っていました。
握り鋏は、母の裁縫箱にも、祖母の裁縫箱にも入っていました。
日本では、そんなにありふれた握り鋏ですが、海外では、めったにお目にかかりませんでした。はさみといえば、2ピースに別れているものがほとんどのようです。
ではまったくないかといえば、そうでもありません。
大きな、大きな握り鋏はイギリスのもの、羊の毛を切るためのはさみです。
私が小さい頃でさえ、羊の毛はバリカンのようなもので刈られていましたから、いったいこの鋏、いつ頃まで使われていたものでしょうか?
そして、下の細長いのはタイの握り鋏です。
U字形をしている握り鋏は、研ぐときは、えいやっと延ばして、I字形にしてから研ぎます。それをはじめて見たときには、びっくりしましたが、今では握り鋏を研げる職人さんが、ほとんどいなくなったようです。
タイの握り鋏は、この形からして、I字形にひろげられませんから、研ぐのには最初から限界があります。が、それはそれ、細部の仕上がりは優美で、タイらしさがあふれています。
もっとも、タイは鍛冶屋の発達しなかった国ですから、どこか他の国に発注したものかもしれません。
そして、羊の毛を刈る鋏の形は、最近まで知りませんでしたが、現代にも生きていました。
右の鋏は、いったい何を切る鋏でしょう?
これは、壁ぎわなど、芝刈り機では刈れない、端や隅の芝を切る鋏です。
羊の毛を刈る鋏でも、芝は切れます。でも、新しい芝刈り専用の鋏の方が、より軽やかに切れます。これを手に入れてから、踏み石のわきの芝を刈ったりするのが、とても楽しくなりました。
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