2011年2月5日土曜日
西アフリカの壺
今はどうでしょうか?少し前まで、壺は西アフリカの農村生活に欠かせないものでした。
壺本来の使い方である、お酒の醸造、水、穀物や種などの貯蔵に加えて、衣類やその他、貴重品の収納にも、壺をいくつか積み重ねて使っていました。
また、縁が欠けたりした壺でしょうか、逆さにして、土間に三つ埋めて固定させると、お鍋を支えるかまどになりました。
土壁を丸く立ち上げた家で、その上に雑穀の茎で円錐形に葺いた屋根のてっぺんに壺をかぶせると、よい雨じまいにもなるので、どの家にもかぶせてありました。
とくに、サバンナの家々では、そんな、壺を使った工夫が、随所に見られました。
この壺と、上の写真の壺は、ブルギナファッソで、通りすがりの農家の庭に転がしてあったのをわけていただいたものです。
市場でも壺は買えましたが、なぜかあまり気に入った形のものが見つからず、人さまが使っていたもは、いつでもよく見えてしまうのでした。
二つの壺は何を入れていたのか、悪臭がひどかったので、一年ほど雨ざらしにしておきました。いまでは、まったくの無臭です。
アフリカでは、仕事における男女の役割分担がはっきりしていていて、壺つくりはたいていの地域で、女性の仕事です。
以前ガーナのクマシに住んでいたとき、近くの壺づくりの村に、ときどき見に行きました。
粘土をひと固まり土の上に置いて、手と木切れを使い、腰を折った女性が粘土の周りをくるくるまわりまがら、まず壺の上半分だけ、厚めにつくります。
少し乾いたら、それを逆さにして、下半分を新しい粘土でつけ足します。そのまま乾かし、生乾きのときに、ぬれた布で外側の表面をつるつるに磨き、縁を整え、トウモロコシの芯やへらなどで、模様をつけます。
さらに乾かしてから、内側をへらでかき取り、全体に薄く仕上げます。
よく乾いたら、空地に壺を積み上げ、穀物の茎や枯れ枝をかぶせて火をつけます。
焼く時間は、そのかぶせた枯れ枝などが燃え尽きるまでです。
焼成温度は低く、時間も短いので、できあがった壺はもろく、すぐひびが入ったり、欠けたりします。私の持っていた壺も、いくつか割れてしまいましたし、いま持っているものも、縁が欠けたりしています。
黒い色がついているのは、灰か何か塗って、もう一度焼いたものです。
轆轤を回して、粘土が回るのではなく、作り手が回るというのは、発想の転換、とても面白かったのを覚えています。
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