2011年3月8日火曜日
ぜんまい仕掛けのMade in Japan
ずいぶん昔、日本とアメリカの経済格差が、まだ歴然としているころ、アメリカで二年ほど暮らしました。
アメリカで暮らして驚いたのは、北欧の家具やテーブルウェア、フランスやドイツの台所道具、インドの布(当時流行っていた)、中南アメリカ(特にペルーとメキシコ)の手工芸品など、世界中から集まったものを、街で、日常的に目にできるということでした。
当時の日本は、1ドルが360円、渡航もドルの海外持ち出しも、厳しく制限されていました。
輸入品は少なく、ときおり大きなデパートで催される「海外の物産展」で、ほんの少し、珍しいのものをかいま見ることができるだけでした。
そんなアメリカで、なぜかMade in Japanには、あまりお目にかかりませんでした。走っている車も、ほとんどアメリカの車でした。
見つけた数少ないMade in Japanがこれ、ぜんまいで動く小さなおもちゃでした。
私たちの住んでいた街には、いわゆるおもちゃやさんはありませんでした。
足を伸ばして、大きい街のデパートや量販店に行くと、おもちゃ売り場がありましたが、売っていたのは、fishher priceなど、アメリカのおもちゃばかりです。
また、街の、高級雑貨屋さんには、北欧の木のおもちゃなど、見るからに素敵なおもちゃだけが置いてありました。そして、小さな小さな雑貨屋さんをのぞくと、こんなおもちゃを、ときおり見かけることがあるのでした。
一歳の息子は、ぜんまいを巻いて機関車を走らせるより、ゴムでできた煙突を、引っ張って抜いてしまうのが好きでした。そのため、遊んだあとは、必ず煙突を探し出して、はめなくてはなりませんでした。
数年前、近所の骨董市で、見覚えのある消防自動車を見つけました。
あの、機関車の仲間です。
アメリカで暮らしていた当時、消防自動車も我が家にあった(ような気がする)のですが、いつのまにかなくなってしまって、久しく見なかったものでした。
馴染みの骨董屋さんで、お値段は500円でした。
というわけで、機関車と消防自動車は、数十年ぶりに再開し、今では一緒に並んで、昔話をしています。
どちらも、年老いていますが、いまでもしっかり動きます。
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