2011年4月27日水曜日

牛車



その昔、タイ国境にできたカンボジア難民のキャンプでは、たくさんの人々が、審査に通って、アメリカ、ヨーロッパ諸国など、第三国に定住するのを待っていました。
直接的には、ポル・ポトの圧政を逃れて、地雷の埋まっていた国境を超えてやってきた人々でしたが、もとをたどれば、ヴェトナム戦争の結果としての難民ということで、アメリカをはじめとする各国が受け入れを表明した、珍しいケースでした。




難民の人々は、誰もが着の身着のままで、家財道具などもほとんど持っていません。
そんななか、手に技術のある人は、キャンプで竹籠をつくったり、木彫りや石彫りのアプサラと呼ばれる神さまをつくったり、配給の缶詰の空き缶を使ったオイルランプをつくったりして、キャンプの内外の人に売って、少しでも今後の生活費の足しにしようとしていました。

そんな、難民の人がつくって、自分の小屋先に並べてあった牛車です。いろいろな木を使っていて、よくできていて、車輪もまわります。
タイでは牛車を見ることはありませんでしたが、後に訪れたカンボジアで、これとそっくりの牛車を見たり、乗ったりすることになりました。




ただのおもちゃというだけでなく、これを見ていると、牛車の構造や、牛のつなぎ方などがよくわかります。
これをつくった人は、きっと本当の牛車もつくっていた人に違いありません。

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