2011年8月15日月曜日
韓国的食器
韓国では、金属のお箸(チョッカラ)と匙(スッカラ)だけでなく、金属の飯碗(バックル)が当たり前です。一般的によく使われているのは、ステンレス製の食器でしょうか。
もともと、身分の高い人は、毒を盛られたときに変色してわかりやすい銀の食器を使っていました。それがスタイルとして庶民にまで普及して、現在のように金属の食器が広く使われるようになったと言われています。
16、7年ほど前に、韓国で各地の農業を見ながら、全国を回ったことがありました。
宿に泊まったり、農家に泊めていただいたりいろいろでしたが、どこでも朝食から夕食まで、バックルに、チョッカラとスッカラでした。
すべての行程を終え、ソウルに戻ったとき、ちょっときばった、趣きのあるレストランに連れていっていただきました。すると、そのレストランでは珍しいことに、金属の飯碗ではなくて、漆塗りの飯碗が使われていたのでした。
溜塗(ためぬり、表面に透明な漆を塗って、下に縫った色を見せる方法)の飯碗に、白いご飯が映えて、なんと美味しそうだったことでしょう。
そのレストランでは、同じ漆の飯碗を売ってもいましたので、すぐ買ってしまいました。
そのとき、どんなお料理をいただいたか、お箸はどんなだったか、全く覚えていません。
ただ、金属のスッカラやチョッカラは、漆の飯碗を傷つけるので、使われていなかったに違いありません。もちろん、木のスッカラなど、見たこともありませんでしたから、お箸だけだったのでしょう。
この、飯碗によく似合う木のスプーンは、日本の作家さんのものです。彼はスッカラの存在を知らなくて、ヨーロッパの古い金属のスプーンからイメージを得てつくったと話していました。
私の方はヨーロッパにスッカラそっくりのスプーンがあることを、それまで知りませんでした、その後、気をつけて見ていると、たしかにヨーロッパにスッカラそっくりの、錫のスプーンがあります。
ヨーロッパのスプーンの歴史は、たかだか350年ほどです。このような形のスプーンが使われていたのは、ヨーロッパの中でもどこだったのでしょう?
日本には割と縦長で深めのスプーンが、韓国には丸くて浅いスプーンが、ヨーロッパから入ってきて定着したというのは、興味深いことです。
そして、しゃもじではなくて、カトラリーとしての匙が、韓国では日常的に使われ、日本では使われず、そして中国では、まったく違う形の散蓮華が使われているのも面白いことです。
真鍮の板を打ち出してつくったスッカラは、煮豆、マッシュポテトなどの取り匙として、我が家では毎日のように食卓に上っています。
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