その昔、学生時代に友人と能登を旅したとき手に入れた、輪島塗りのボンボン入れです。
轆轤で木のかたまりを引いて、形をつくった上に漆を塗ってあります。
銀蒔絵が施されていますが、長い間誰にも買われなかったとみえて、訪ねた漆器工房の展示場に並んでいたときから、すでに銀は鈍くて光らない色に変色していました。
私は、どちらかと言えば、緻密で繊細なものより、素朴なものの方が好きですが、祖母は、輪島塗が好きでした。軽くて、丈夫でで美しいと言うのです。
確かに、薄い木地ですがゆがみもせずきちんと蓋ができて、そして漆も堅牢です。
中国の、やはり木地づくりの蓋物です。輪島塗りよりは厚みのあるものです。
プノンペンに住んでいたとき、アパートの一階上にフランス人が住んでいて、別の場所で骨董屋をやっていました。その骨董屋で買ったものです。
古いアパートは、一階に大家さん家族が住み、二階から四階まで一部屋ずつ、合計三部屋しかありませんでしたが、メコン川や博物館に近いという立地に加えて大家さんのセンスがよく、家賃が安いのに、とても住み心地のいい部屋でした。
なにせ、開け放った窓から、博物館の屋根裏をねぐらにしている蝙蝠が、暮れ方に、100万匹以上空を飛んで狩りに行くのが、黒いリボンのように見えるのですから、それだけでも豪華絢爛でした。
建物に住む蝙蝠としては世界最大の数で、カンボジアにとっては蝙蝠も保護したいし、しかしこのままでは博物館や所蔵の美術品が蝙蝠の糞で傷むしと、ジレンマのものでした。
この蒔絵は金ではなくて、金に似せた色の漆なのでしょうか。
消えかかってはっきりしませんが、楽曲を奏でているように見えます。
中は朱漆塗りです。
外が黒、中が朱色はよくある取り合わせですが、色っぽくて素敵です。
ご無沙汰しましたm(__)m
返信削除輪島塗りのボンボン入れ、素敵ですね~ これ良いです!
でも、金繕いかぶれ事件から漆が怖いかも^^;
びっきさん
返信削除こちらこそ大変失礼しました。
びっきさんが、私のブログに最初にコメントくださったのに、いきなりプロバイダーを変えたり、新しいプロバイダーではしばらくコメントできなかったり..。
どうか懲りないで遊びに来てください。
ボンボン入れは、金でなくて地味な銀のところがいいでしょう!
私も漆には盛大にかぶれますが、乾いた漆は問題ありません。これまで、マンゴーやカシューも含めると、30回くらいかぶれて、うち5回くらいは、お岩さん状態になりました(笑)。
輪島塗のボンボニエール、蒔絵部分が古美色になり素敵です。朱塗り部の艶は紫外線で失われているようですがこれもまたいいですね。(擦漆修繕とかもありますが)カンボジアはよいところのようですね。私の知り合いも住んでいたことがあり、いずれはあちらに永住したいと言っておりました。春さんの住んでいたアパートメントも見てみたいです。
返信削除はっとさん
返信削除それが、輪島塗りはもとからつや消しだったと思います。少しはくすみが増したかもしれませんが、もともとあんなでした。
カンボジアのアパートの写真、一枚アップしていますhttp://koharu2009.blogspot.com/2011/06/blog-post_4182.html。