2012年4月27日金曜日
カフィーヤ
カフィーヤといえば、もちろん、すぐ「アラブ世界」を連想します。
カフィーヤの上に、輪っかイガールを乗せたりしますが、イガールを乗せるのは年を重ねた長老だけです。
カフィーヤには、ルーズなワンピースがよく似合います。カフィーヤに背広姿の人もいますが、個人的にはあまり似合わないと思います。パレスチナの故アラファト議長は、いつも黒白のカフィーヤを離しませんでしたが背広姿(洋装)でした。
カフィーヤを脱ぎ捨てる男性を目撃したことはありませんが、外や居間では絶対取らないスカーフを、奥の部屋でぱらりととったおばあちゃんを見たことがあります。 長いお下げ髪が揺れて、どきっとするほどセクシーでした。
男性もそうなのでしょうか?それとも、貧相になるだけでしょうか?たぶん後者でしょう。
カフィーヤは木綿の織物です。
プリントではなく、格子でもなく、織った糸で模様を出している、複雑なつくりの布です。
左側は同じ布の表、右側は裏です。
赤い糸は布の表だけを行き来して、表だけに模様が出るようにつくってあります。
紅白のカフィーヤは、ヨルダン、サウジアラビアなどで使われています。
私は、紅白のカフィーヤしか持っていません。
故アラファト議長の写真を見ると納得がいくと思いますが、黒白のカフィーヤは、紅白のカフィーヤと比べると模様が大きくて、その分布の厚みも薄くて、なんとなくつくりも雑、つまりあまり美しくないのです。
驚くことに、ほとんどのカフィーヤが日本で織られていると聞きました。でも、最初から日本でつくられていたわけがありません。
では、それ以前はどこでつくられていたのでしょう?
昔は、今でもサウジアラビアで使われているカフィーヤのように無地の布、それもどんな布でも使われていたのでしょうか。
写真は、『COSTUME PATTERNS AND DESIGNS』 (LONDON・A. ZWEMMER LTD.1956)のもの、シナイ半島の遊牧民ベドウィンの姿です。
かっこいいこと!
あるいは、簡単な、手織りでつくれるような格子柄もあったかもしれません。
同じく『COSTUME PATTERNS AND DESIGNS』の、イラクの男性は、今のものと変わらないようなカフィーヤをかぶっています(後ろの服はイエメンの女性のドレス)。いつから、今のようなものになったのか、どこでつくりはじめたのか、興味津々ですが知りません。
ちなみにパレスチナで女性がかぶる、白いスカーフも、二十年ほど前には、衣料品店の店主の話では日本製のものがほとんどでした。
もっとも、今ごろはどこか、繊維産業の盛んな別の国製のカフィーヤやスカーフに取って代わられているかもしれません。
昼夜の寒暖の差の激しい砂漠地帯で、熱い陽ざしを避けるために頭に巻き、汗ふきになり、夜は保温もしてくれるカフィーヤは、アラブ地域にぴったりの布です。
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