2013年1月15日火曜日

赤坂土人形


日本でもっとも素朴な土人形は何かと問われれば、赤坂土人形ではないでしょうか。
二つの型を合わせたときに、たっぷりはみ出したバリを削り取らず、素焼きした人形にやすりをかけることもせず、胡粉で真っ白く塗った上に、たいていは食用色素の赤、緑、そして黒だけで、簡単に彩色してあります。

できたときはものすごく色鮮やかですが、年月を経ると、胡粉は落ちて下地がのぞき、赤も緑もすっかり褪せて、しっくりとし落ち着いてきます。


学生時代、夕方のもう日も暮れようという時間に、バスを乗り継いで土人形をつくっている福岡県赤坂にある赤坂飴本舗に、やっとたどり着いた時ほっとしたことは、今でも覚えています。飴と土人形の両方をつくっていらっしゃるのです。
その当時から、この裃猿と義太夫狐は、我が家で仲良くペアを組んで座っています。


猿の顔は横から見ると、まるでお面でもかぶっているようです。バリを取ってないだけでなく、型もずれている気がします。


犬は、十年ほど前に母のところからもらってきたものだから、ちょっと新しいでしょうか。赤色が残っています。
あとは、我が家で半世紀近くを過ごしているものばかり、手前は馬です。


鳩笛は今もほーほーと鳴きます。


赤坂飴本舗を訪ねたとき、もっとも目を引いたのは、この獅子被りでした。
新しいときはとても派手なもので、太い歯が金色に燦然と輝いていたのです。
「金歯獅子、金歯獅子」
と愛でていましたが、今では金色がすっかりおとなしい色に、褪色してしまいました。


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