2013年4月16日火曜日

芸術な一日


日曜日に、水戸芸術館近代美術ギャラリーに、坂茂(ばんしげる)さんの「建築の考え方とつくり方」展を見に行ってきました。
家に帰ってから、いただいた資料を見たら、全館カメラOKと書いてありました。なぁんだ、そのときは全然気づかず、写真がありません。杓子定規な人間は、これだから困ります。

紙、木、ガラスなどを使って、外と内をどうつなぐか考えた建築。原寸大の模型や、縮小された模型なども数々あって、とっても興味深かったです。

写真は水戸芸術館の一部であるシンボルタワー。上りませんでしたが上れます。 


夫はめったに建築に感動しない人ですが、フランク・ロイド・ライトの建築以来、珍しく感動していました。


移動美術展会場。
天井は違いますが、今回の展覧会場にも、同じ紙の柱がいたるところに配されて、坂茂の空間が実感できるようにつくられていました。

坂さんは難民や避難民のためのシェルターもたくさんつくっていらっしゃいます。紙の柱は軽くて、災害時には誰でも組み立てられるのが特徴です。 


震災後の神戸に建てられた紙の教会は、建築基準法やら何やらで、十年後には廃棄されることが決まりました。
しかし、それを惜しんだ人が台湾で再建することを計画、強度テストも問題なく、現在は台湾で活用されています。


四川大地震のとき成都の立てられた紙の華林仮設小学校。


東日本大震災の避難者用の、紙管と布でできた避難所の仕切り。昼間はカーテンを、紙管の上に全部上げることができます。
夏の蚊帳バージョンも人気だったそうです。


続いて、県近代美術館で、アンドリュー・ワイエスの水彩・素描展も見てきました。

八郷に来てから十余年。これまでに陶器展などを除いて、美術館に出かけたのは、秋野不矩展と草間彌生展のたった二度だけでした。
それが今回、一日に二つも見たのですから、すごい文化な一日でした。

こちらもよかった。


ワイエスが何十年も書き続けたオルソンの家の絵は、ごくごく初期のものを除いて、どの絵も迫力がありました。


かつては栄えた大きな家にひっそりと暮らすオルソン姉弟の、寂しさ、静けさがひしひしと伝わってきました。


桶、鋤など、細部も面白がってしまう私。この絵の卵ケースや秤も素敵でした。

世界を飛び回っている坂茂さん。何十年も同じ家を描き続けたアンドリュー・ワイエス。対照的ですが、「深く見る」、「心で見る」という視点はどちらも同じかなと思いました。



10 件のコメント:

  1. 撮影可というのは嬉しいですね、とくに学生には。坂氏の紙や木を使った建築は、あたたかさがほんのり漂っていていいですね。曲線も伸びやかでおもしろいです。竹かごを編むような構造を建築屋根に用いるなど、どこかアジア、日本を組み込んでいるようでしっくりと落ち着きます。秋野不矩さんのお話が出てましたが以前訪れた秋野不矩美術館美術館は、その作品にまさにぴったりの建築で、色、素材、、などどれもその作品にあわせたかのような藤森照伸氏のお仕事ぶりでした。

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  2. hattoさん
    坂茂展、もう一回行ってこようかと思っています。竹籠の模型もあったんです。あんな竹籠ならつくってみたいという気になりました。中国の竹の笠をイメージした建築のところには、中国の笠がおいてあって、素敵で、中国に笠を探しに行ってみたくなりました(笑)。横道にそれていますが。
    秋野不矩美術館、ネットで見てみました。行ってみたいですね。浜松か。あっちの方には、用事もたまっているのです(笑)。脳梗塞で倒れた友人を見舞うとか...。
    たんぽぽハウスなんて、「たんぽぽは移動するのに、いつまでも生えているんかいな?」と思っていたのですが、この藤森氏の建物は、なかなか素敵です。
    私が秋野不矩展を見たのは岡倉天心を記念した、茨城県の五浦の美術館でした。とってもよかったです。思い出してもうっとりします。

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  3. 何年か前に、お台場にやってきたノマディック移動美術館に行きました。
    様々な色の船積み用コンテナがつなげられたり、重ねられたりという外観も意外性がありましたが、中に入るとそそり立つ柱がまるで神殿の内部のようで強い印象を受けました。
    でも春さんのブログを読むまで、この柱が紙製とは知りませんでしたー。

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  4. あはは、たしかにたんぽぽハウスは、そうですね。とかニラハウスもすぐ枯れるわなぁ、、、と。坂茂展もし再び行かれたら、写真のせてくださ~い。きょうは、春さんのリンゴとサツマイモの煮たのを真似して作りました。あまずっぱくておいしかったです!(いつもは林檎だけなので。)

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  5. 坂茂さんというのですか。たしかに発想が斬新で、仮設や展示という面でも有効な建築です。先の震災で話題になったことを記憶しています。写真OKというのはありがたいですね。以前はどこもNGでしたが、ちかごろの博物館で一部もしくは全面OKがでてきて、喜んでいます。

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  6. kuskusさん
    船積用コンテナは今回の地震の仮設住宅にも使われ、実物模型が庭にありました。従来の仮設住宅より高層(三階)で、その分建物を離して、閉塞感をなくし、中も家具なしですぐ住めるよう、洋服掛けなど家具が充実していました。冬の室温も高かったようです。紙の筒も、太さ各種、断面も見られます。ジョイントも。
    5月12日までやっているから、行って見たらいいと思います。とくに、木を竹籠のように編んでつくっている柱は圧巻でした。どうして思いついて、しかも形にできたんだろうと思うと頭が痛くて(笑)。私だったらもっと簡単な形で妥協します(笑)。

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  7. hattoさん
    ニラハウスもどうなっているんでしょうね。植物の選び方が悪い(笑)。どちらも生えて欲しいところより、勝手に移動する方が好きな植物です。じっとしているシランなど選んで、「わしゃシランハウス」とかつくれば良かったのに(爆)。
    リンゴとサツマイモは、ちょっとだけ砂糖・塩を入れて、あればレーズンもたっぷり入れるとおいしいです。サツマイモはごろごろしないようちょっと小さめに切って、煮崩れた方が、お互い味がなじむような気がします。

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  8. onnji-さん
    坂さん自身は一切写真は撮らないで、自分の目で見て、あとで見返したかったら、写真集を見るそうです。それがよい見方であるというのはよくわかります。
    というのも、草間彌生展を見に行った時、撮影可の作品は誰も見ていなくて、ただ群がってみんながカメラやケイタイを向けていて、「何しに来たんだ?」と思いました。
    まあ、以前は意匠を盗まれるという意味で撮影不可だったと思いますが、情報があふれた現代は、許可すると「みんなが目で見ないから」許可していなかったりしているかもしれませんね(笑)。
    ただ、建築は、我が家でも誰かが撮った写真で、「わっ、こんな撮り方もあるんだ」と気づいたりしますから、そういう意味で許可になっているのでしょうか。
    坂さんは、素晴らしかったです。各地の災害住宅もその土地のやり方や材料を生かしているし、災害があると建築材料も高騰しますが、紙は大丈夫だそうです。そして、なにより美しい!

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  9. コンテナの仮設住宅も避難所の仕切りもノマディックも、
    坂茂さんという建築家と結びついて認識してませんでした。
    なんだか山の中でぼんやり暮らしてるもので(苦笑)。
    連休過ぎに、なんとか間に合うようなので見に行きます!

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  10. kuskusさん
    私の方こそ、山の上でぼんやり暮らしているので、20年も前に難民に仮設ができないかと紙の家をつくっている坂さんという人がいると聞いて知っていたのに、そこで思考が止まっていて、今回、ルワンダでも、インドでも、神戸でも、東北でも、東北地震に埋もれてしまったニュージーランドでもやっていたのを知って、びっくりしました。
    1年間、坂さんが働いたことのある磯崎新が設計した水戸芸術館での個展が決まったのは3年以上前で、それから地震が起こり、地震の2年後の3月に開こうと、計画してきたものだそうです。それに、個展は初めてだって。実物大の木の模型は、日本には技術がないのでスイスでつくって運んだんものだそうです。
    連休明けにはきっとお疲れと思いますが、見に行って、疲れをいやしてください。

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