2013年4月22日月曜日

300円な日

昨日は休日、骨董市の日でもありました。あいにく朝から冷たい雨、しかも本格的に降っていました。気温も上がりません。
もちろん、こんな日には夫は出かけませんから、誘いもせず、一人で骨董市に出かけました。雨でも行く。それが、私が杓子定規な人間と言われるところです。


まず、がんこさんのお店。
「ビンある?」
「えっ、どんなビン?」
「お茶のビンとか、ブログに書いてあったやつ、どれでもいいから見せてねって、メールしておいたじゃない」
「あっ、ヤフオクやってなかったからメール全然見てなかった。あのビンは全部売っちゃったよ。でも、お茶のビンは25,000円もしたよ」
「げっ、そりゃ無理だ。買わないわ」
「ごめんね、気がつかないで。これあげるよ。昭和三十年代のオレンジジュースのビン」
「いいよ売りものなのに」
「いいからあげるよ」
いきなり、ビンをもらってしまいました。

お茶用ガラスビンとは、「富岡式茶瓶製造元 大日本麦酒株式会社」とエンボスのあるビンのことで、使われた期間が短かかった幻のビン、ほとんど残っていないそうです。
陶器の土瓶では中が見えないと、ガラスビンにしたものの、たくさんの人が窓から使用済みのビンを投げ捨ててしまいます。鉄道沿線に田んぼや畑のあるお百姓さんたちがガラスの破片でずいぶん怪我をしたりして、すぐに製造中止になったとか。
今でも車から家庭ごみを道路に投げ捨てている人があとを絶ちませんが、昔はもっとひどかったのですね。


そのがんこさんが、金魚のゼリー型を持っていました。ゼリー型は、ゼリーを入れて水に浮かべて冷やしながら売っていただけではなく、地域によってはべっ甲飴の型にもしたそうです。一つだけ棚にひっそり並んでいたのに、手に取ると、
「どれでも好きなの選んで」
と、車の中の箱からいっぱい出して、見せてくれました。
並べたところがかわゆくて、二つも買ってしまいました。一つにはべっ甲飴がこびりついたような汚れがついていて、それもおもしろいので、強くこすらないでおきました。


お次はさわださんのお店。いきなり、
「この薬ビン持ってる?」
「持ってない」
「蓋がいいでしょう。300円」
「この薬匙は?」
「一つ300円」


「おはじきは?」
「300円」
「えっ、高くない?」
「高くないよ」
「.....」
高いけれど、失敗作のくっついた「めがねおはじき」はユーモラスだし、「ちょき」は、プレイボーイのバニーのようにも見えます。
それに朝鮮の真鍮の薬匙はとても300円で買えるものではないので、匙とおはじき、足して割れば帳尻も合うというか、お釣りがきます。


「シャーレって幾つあっても役に立つのよね」
「大きいのも小さいのも300円。いくらでもあるよ」
実験道具のデッドストックがコンテナいっぱいありましたが、いくらなんでも、そんなにはいりません。
アルコールランプの上で何かを溶かす、小さな磁器の蓋つきのお鍋は、買いませんでしたが、とってもかわいい片口鍋でした。あれも買えばよかったなぁ。


「この目打ちきれい!」
「300円」
その日のさわださんは、300円以外は知らない人のようでした。


それにしても、人の手の油ってなんて素敵なのでしょう。
我が家の目打ちと比べると、持ち手は同じ樫でできているのに、色も艶も全然違います。目打ちが入っていた裁縫箱には、他にも擦り減ったへらなどが入っていましたが、こんなになるまでお裁縫をした人はどんな人だったのでしょう?


というわけで、300円連呼のさわださんからの、戦利品です。


お次はまことさんのお店。
先客がまことさん夫妻ともめています。まことさんは7,000円に負けると言っているのに、お客さんが最初の言い値の8,000円払うと言って、野口英世が雨の中で行ったり来たりしているのです。まるで、落語の『井戸茶碗』のようでした。
さて、それも、まことさんの負けで落着しました。
「焼き物の恵比寿さまはいくら?」
「300円」
「.....」
さわだ発300円熱がまことさんにもうつっているようでした。
「ん、高い?」
「高くない。高くない。小さい大黒さまは?」


「それはおまけであげるよ」
はぁ、4センチほどのかわいい大黒さまでした。


なんか最近、神棚に恵比寿大黒が増えていません?


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