「古い犬たちなのに一匹?」
ということはもっと犬がいるのかなと、出品者のその他のオークションを見てみました。
いたいた、たくさんの犬がいました。張子の犬、土の犬、古くて珍しいものばかりです。すでのたくさんの入札があって、どれも500円からはじまっているのに、もう数千円、なかには一万円近くに跳ね上がっている犬もありました。
その中に、誰も入札していない犬が一匹だけいました。
丸っこい犬で、布でできているようでした。
顔を見て一目で気に入り、終了までには数日ありましたが、入札しておきました。
すると、幸運にもこの犬だけ競争なしで、私の手元に届いたのでした。
「いやぁ、かわいい、かわいい、かわいい!!!」
何度言っても言い足りません。嬉しくて寿命が三日ほど延びました。
羽二重でできていて、首のところでテルテル坊主のようにくくってあります。
背中に一ヶ所、布を寄せて絞っているところがあります。
そして、お腹では大きく絞ってあります。ところが、頭部分にはほとんどしわも寄っていません。一枚布のままです。
また、ぶつっと突き刺した足は、とてもユニークです。
お尻のあたりにだけ、縫い目が見えます。
絞ってあるだけでなく、縫ってもあるのでした。
絵つけの巧みさから見ると、素人がつくったものというより、商品としてつくられたものだと思うのですが、どうしてこんな素材とつくり方を選んだのか不思議です。張り子や土の方がずっとつくるのが簡単そうです。
赤い素敵な尻尾、かわいい耳、柔らかい手触り。
今も机の上に置いていて、目をやるたびに幸せな気持ちになっています。
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