2013年12月14日土曜日

吉良の赤馬


江戸時代からつくられている、愛知県西尾の「吉良の赤馬」です。
赤馬は吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしひさ)の愛馬で、義央はよく赤馬に乗って、領内を視察していたそうです。

吉良上野介義央は忠臣蔵では悪役ですが、地元では治水をよくした名君として領民から慕われていました。そして、「吉良の殿様のような立派な人になれ」という願いが込められて、赤馬がつくられるようになりました。


吉良の赤馬は、桐のおがくずに正麩糊を混ぜて身体を型抜きし、そのあと足と耳をつけたものです。大正初期には「福引種」と呼ばれ、三角袋の駄菓子の中に、一緒に入れられて売られていたこともありました。
駄菓子のおまけですが、子どもたちは、おまけ目当てに買っていたそうです。


小さい馬は高さが2センチちょっとしかありません。

前々から気になっていた吉良の赤馬でしたが、これまで手にする機会がありませんでした。ところが、来年の干支が午ということで、日本土鈴館が、複数所蔵している馬の人形を、しばらく前から領分していました。
その中に、この吉良の赤馬があったのでした。


赤馬白馬は、田中伊太郎さんがつくられたもので、義央が赤馬にまたがった「吉良の殿様」は、伊太郎さんの娘さんの、田中ゆきさんがつくられたものだそうです。


吉良の赤馬は、今でも昔とほぼ同じにつくられています。 世代が変わるとガラッと作風や大きさが変わりがちな郷土玩具の中にあって、珍しいことです。

ネットで「吉良の赤馬」の新聞記事を見つけました。
現在の制作者であるる井上裕美さんと、その母早夜子さんの記事ですが、裕美さんの祖母にあたるゆきさんの、お人柄やものづくりの厳しさがうかがえる、興味深いものでした。


今日は、赤穂浪士討ち入りの日です。




2 件のコメント:

  1. 江戸研究者?杉浦日向子さんが生前に描かれた「吉良供養」という漫画を読んだことがあります。忠臣蔵のお話は嫌いではないけれど、たった一人の過ちが流した多くの血を思うと 、決して美談だとは思えないですね。立派に祀られた義士たちの墓標は未だに手向けの花が絶えませんが、訳もわからず虐殺された吉良家の家臣は埋葬地も分からないという…「大義ことごとくを滅す」という言葉そのものです。
    赤馬、すごくイイ味出してます♪現在、普段はどんな風にして売られてるんでしょうね。お殿様も含めて、みんな欲しいわー(笑)

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  2. topcatさん
    作者である井上裕美さんに電話でお願いできるそうです。電話番号は、0563-52-4431、中日新聞の記事にもあったように、注文したら送ってくださるそうです。赤馬は、赤い顔料に墨を混ぜるようですが、それとて長年の経験が出す色のようです。
    そうか、杉浦日向子さんの本、いろいろ読んだけれど吉良供養は読んだことがありません。美談かそうでないかは紙一重ですね。昨年もシリアで殺された女性記者は殉死ともてはやされましたが、同時期にルーマニアで殺された女子大生は、非常識と避難されました。一度評価が決まると、あとは評判が独り歩きして極端化するようです。忠臣蔵はその最たるものかもしれませんね。炭俵に隠れる上野介は、女々しい感じがするし(笑)。でも、いろいろな見方があることを教えてくれる、「吉良の赤馬」です。

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