2014年1月16日木曜日
ココヤシの匙
プーケットの荒物屋さんで買った、柄杓と匙です。
柄杓の水をすくう部分はココヤシの殻でできていて、匙はココヤシの木でできています。
数あるヤシの中でも、ココヤシほど利用価値の多いものは、他に類を見ません。
甘いココナッツジュースは、喉をうるおしてくれ、殻の周りにつく胚乳はそのまま食べてもおいしいし、削って絞れば、料理やお菓子に使うココナッツミルクができます。
風味のあるココヤシ油が採れ、樹液で砂糖がつくれ、葉はいろいろな細工ものに使え、葉柄で籠が編め、最後に木を切り倒すと、家を建てる材木にもなります。
しかも海岸であろうが、ちょっと乾燥したところであろうが、植える土地も選びません。
木は削ると、木目が面白く出ます。
固い殻は天然の容器として、熱帯だけでなく、実が流れ着いた日本でも、古く縄文の時代は使われたようです。
この柄杓は、柄を二ヶ所留めることでココヤシの殻と柄の関係を安定させています。
外側から見ると、柄がつきぬけているのが見えます。
以前、バンコクのクロントイ市場で買った柄杓も、見事な留め方をしています。ちょっと細くした柄の先を殻に通して、固定と補強を兼ねた板を一枚噛ませ、くさびで留めてあります。
接着剤は使っていないので水が多少は漏るかもしれませんが、柄杓が深いので使うのに問題ありません。
この穴杓子は、柄を釘で留めてあります。一番簡単そうですが、殻を割らないように、気をつけなくてはならず、叩いて締めるというのは案外難しいかもしれません。
柄の木は、内側だけに沿わせています。
こちらの杓子は、ラタン仕事がきれいです。
内側もきれいですが、外側はもっときれいです。これも、柄の木は内側にそわせているだけです。
今でも実用品として使われている新しくつくられたものに比べて、古いものはもっと手が込んでいます。
「これ、いったいどうやって柄をつけてあるの?」
内側に沿っている柄の木があまりにも薄く、微妙に曲がっているし、どうやってつくったかわかりません。
う~ん、見れば見るほど、わかりません。
この杓子も、柄にココヤシ部分を差し込んでいます。
ココヤシは平らではなく、丸くなっていますが、柄の先は、ちゃんとココヤシの殻に沿っています。見事なつくりと言うほかありません。
柄のついていないものが一番つくるのが楽に見えますが、やってみるとわかるのは、殻が硬くて、なかなか細工しにくいということです。まだ、すぱっとまっすぐ切って柄をつける方が簡単かもしれません。
今でこそ、トリマーやサンダーなどがありますが、その昔、大した切れ味ではないナイフを使ってこんなにきれいに削り出した人たちに、敬服するばかりです。
この小さな匙は、フィリピンのもので、後はタイとカンボジアのものです。
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