2014年2月1日土曜日
東vs.西(島嶼vs.大陸)の陶磁器修理
地震で縁が欠けてそのままにしていた大皿を、ついに金継ぎの「ほん陶」さんに直していただきました。
財布はちょっと軽くなりましたが、懸案事項がなくなって、心安らかになりました。もっとも割れていないので修理代は格安、割れた小鉢も見積もっていただいたのですが、三つに割れて、縁も欠けた小鉢の修理代は高く、そちらは諦めて捨てました。
縁は欠けたままにしておくと目立って、実に目ざわりなのですが、修理すると金色に光るのに、まったく目立たなくなる感じがします。
修理のことでほん陶さんとメールでやり取りしていて、
「魚模様のお皿は、修理を目立たなくするためと、修理を補強するためにニスをかけていますよ」
と、言われ、
「えええええっ」
と驚いていたものでした。
縁が、今回の地震だけでなく以前にも欠けていて、それを修理して、補強するためにニスを塗っているのだそうです。
修理方法は、「ヨーロッパ型」だそうで、
「もしかして、このお皿はヨーロッパに渡ったことがあるのかもしれない」
というお話。再び、
「えええええっ」
と、びっくりするばかりでした。
私はヴェトナムのお皿ではないかと思っていたのですが、ほん陶さんのお考えでは、中国のお皿ではないか、ということでした。
中国にも、軽妙な模様のお皿があったのですね。
一番大きい欠けは、以前お隣さんに修理してもらっていたのですが、
「金は高いから」
と、深緑色の漆を塗ってくれていました。ところが、深緑色では汚れがついているようで、何故か落ち着かないのです。
呉須には金や銀がよく似合います。
これがそのニスを塗ってあるところと、高台の中の塗っていないところの比較です。言われれば、高台の中は光っていません。
でも、ほん陶さんに指摘されなかったら、絶対に気がつきませんでした。
てっきり二ヶ所欠けたと思っていたのに、もっと欠けていたようでした。
両端はほん陶さんの仕事、真ん中は何?
釉薬だけはがれている感じです。
そして、左の白いのは、明らかに誰かが修理した跡です。
ニスを塗ってあるので、使うより飾るのが一番と言われましたが、大きなお皿なので、時々しか使わず、それくらいなら使ってもかまわないそうです。
それにしても、ニスを塗ったお皿なんて、初めてお目にかかりました。
上の、内側だけ青磁のお皿は、夫の両親が遺したもの、魚模様のお皿は、プノンペンのトゥールタンポン市場の骨董屋で買ったものです。
金継ぎは、「景色になる」とさえ言われるもので、好き好きはあると思いますが、私は大好きです。好きなお皿にさらに付加価値がついた気さえします。
でもこっそり目立たないように直してあるものは、あまり好きになれません。と言いながら、このお皿は直してあると知りつつ買ったものです。
呉須の色から すると、民時代のものでしょうか?
石の粉で、欠けを修理してあります。
汚い仕事ですが、もともとのお皿が雑なので、そう気になりません。
こちらは、椀の高台です。買った時には修理跡はまったく気がつきませんでした。
高台が全体に汚いので目立たず、今回も写真を撮ろうとして、
「あれ、欠けがあったのはこの椀だよね」
と一生懸命見て、やっと見つけました。
これも清時代の椀よりぽてっとしているので、民の雑器ではないかと思っているものです。
明朝が滅亡したのは17世紀の半ばですから、もし民時代につくられたものなら、350年以上前につくられたものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿