2014年2月15日土曜日

笹野花


箱の両脇から木の枝が勢いよく飛び出した大きな箱が届きました。
「あっ、もう届いたんだ」

笹野一刀彫の戸田寒風さんにお電話したのは、ほんの数日前でした。たまたま目にしたテレビで、けずりかけの花を見たので、連絡してみたのでした。
けずりかけには、なんだか引きつけられるものがあります。以前からけずりかけの花のことは知っていましたが、なかなか手には入らないものと、諦めていたのです。

見たテレビ番組も再放送で、いまでも花をつくっていらっしゃるかどうか半信半疑でしたが、電話口に出た女性は、
 「花は咲いたのが四つと蕾一つのセットになっています。花ができたら着払いで送りますよ」
と、頼もしく請け負ってくれました。
せっかくだからと二セットお願いして、できるまでには、てっきり時間のかかるものだと思っていましたが、すぐに届きました。


「わぁ、りっぱ!」
箱には想像したよりずっと大きな花が入っていました。


けずりかけの「笹野花」は、コシアブラの枝を、鋭利なナイフ(チヂレ)で薄く削ってつくります。薄く削ると、削られた木が、くるくる巻いていきます。もちろん、薄く均一に削らないと、きれいに巻きません。

米沢のけずりかけは、名藩主の上杉鷹山が農家の副業を奨励した昔から、営々と農民たちによって受け継がれてきました。その中で、戸田家は職業として一刀彫に特化したのです。
戸田寒風さんは、笹野花のほかにも、笹野一刀彫を代表するお鷹ぽッぽや、干支ものもつくっていらっしゃいます。

今でも、毎年一月十七日に笹野観音で、「笹野観音十七堂祭り」が開催されるさいには、門前にお鷹ぽっぽや笹野花を売る出店が並ぶそうです。


生木に花をつけると説明されていたとはいえ、こんなに緑の量が多いものだったとは、想像していませんでした。
ツゲの木だそうですが、アカミノイヌツゲでしょうか、赤い実が少し生っていました。


さて、電話口で念を押されたのは、
「空の花瓶ではなく、生の花のように、水に入れて活けてください」
ということでした。


笹野花は、神仏に供える花で、先祖供養や火伏せにもつかうものですが、水を入れた花瓶はとても重くて、床の間の上の神棚には乗せられません。
お雛さまの両脇に置いてみました。

お雛さまは、急に賑々しくなりました。
 

笹野花は、花のない冬の間につくり、花のない季節を彩るものです。
米沢あたりでは、いまでも需要があり、人々とともに、生き続けているようです。




2 件のコメント:

  1. arch11.一段と賑やかになりましたねー
    バレンタインも終了したので、
    我が家もぼちぼち飾ります。
     それにしても大雪ですねー
    行列を見ると東京の人は辛抱がいいですね
    私なら我慢できづカプセルに直行ですよ。

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  2. 昭ちゃん
    こちらは雪が大したことはなく、しかも今朝からの雨でずいぶん溶けました。出歩かなくてもいい身に感謝しています。
    ところで、今次男が東京から移動中です。他の人は誰もそんな目にあったことがないのに、次男だけは、以前台風や大雪で電車が途中で停まって、帰るのに6時間もかかった経験をしています。二度あることは三度ある、今日もとても時間がかかっています。帰りはまだしも、どうしてこんな日に来る気になるの?(笑)。
    明日帰るそうですが明日は嘘のように晴れるといいです。
    お花、きれいでしょう?

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