しかし、イカットの中で、東ティモールの布は確かずっと前にUPしたはずでした。そう思って、「布」と「織りもの」のカテゴリーを見返してみましたが、何故か見つかりません。
カテゴリー分けするのを忘れたのか、あるいは大きな布を写真に撮るのが面倒なのでUPしてなかったのか、そのあたりははっきりしません。もしかしたら前のものとダブるかもしれませんが、その東ティモールの布からUPしたいと思います。
かつて、仕事や会議で外国の大きい町や小さい町に行ったとき、空き時間をつくり出して、私は喜々として街をほっつき歩いたものでした。
市場があれば市場に行き、どんなものが売られているのか、端から端まで見ます。インドネシアの町では、店いっぱいに布を積み上げた布屋さんがあるのも嬉しいことでした。
スマトラ島のブキティンギで、ジャワ島のジョクジャカルタで、バリで、布屋さんの古い布の品そろえをながめていて、とく目につく織りものは、鮮やかな色の東ティモールの絣でした。
そのころ、東ティモールはまだインドネシアの一部で、長い独立運動を戦っていました。
東ティモールはその後、2002年に独立を果たしています。
イカットはインドネシア語で、「結ぶ」という意味です。
東ティモールでは絣のことをタイスと言いますが、これが東ティモール固有の言葉か、英語のtie(タイ=結ぶ)からきているのか、知りません。
だから、ここではイカットも、タイスも使わず、ただ「絣」とします。
東ティモールの絣の特徴は、鉤文の絣、絣と縞の組み合わせと、「赤」でしょうか。
この絣は55センチの幅の布を二枚つないで一枚の布とし、全体の幅は110センチ、長さは200センチあります。
赤は、この写真の具合で化学染料のように見えますが、天然染料(茜)で染めたものと思われます。
しかし、縞模様にしている糸の一部は、化学染料で染めたのか、あるいは市販の色糸も混ぜて使ったのかもしれません。とても色鮮やかです。
絣部分は東ティモールに固有の鉤文です。
細い縞の中にも、絣に染めた糸が見られます。
この絣は、上の絣よりもっと色鮮やかです。
絣は二色使っていますが、もちろんきまりの鉤文です。
細い縞にも絣に染めた糸を使う方法は、タイなどでも見ることがあります。縞に陰影ができて、奥行きのある布が織り上がります。
これも二枚はいであり、幅105センチ、長さ190センチです。
アイロンを当てる手間を惜しんだので皺が目立ちますが、真ん中の絣の部分、両端の縞の部分と、合計三枚の布をはいであります。
色がうまく出ていませんが藍染めの総模様です。
縞布の方にも、細い絣が入っています。
幅135センチ、長さ180センチです。
東ティモールでは、綿を栽培していませんが、伝統的には綿花を外から輸入して、それを各自が糸につむいで布を織ってきました。
でも、近年は工場でつくった糸を輸入しているようです。
上の三枚は、そんな機械で紡いだ糸(たぶん)を使っていますが、この絣は手紡ぎの糸でつくってあります。
縦(写真では横)が短く、横に四枚つないであるものを二つ折りにして撮っていますが、たぶん広げて、細くて長い「わ」にして、腰巻(サロン)にしていたものだと思います。
真ん中の二枚の布は総模様で、両端の二枚の布は藍染めの無地の端に細い縞と絣を入れて、アクセントにしています。
幅170センチ、長さ110センチです。
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