と言っていたGHさんから、キューバ土産のTシャツをいただきました。数年前に、お連れ合いが囲碁の指導だか大会だかで、キューバにいらっしゃったのです。
鮮やかな赤いTシャツでした。
木綿で素材も縫製もしっかりしていて、しかもたっぷりサイズです。
数日後、八郷の地でもう二十五年も続いているという読書会の面々がいらしたとき、GHさんもいらしたので、さっそく着てみました。着心地は満点です。
問題は洗濯、赤はよく色落ちします。というのは色どめが難しいからです。
化学染料の色の中でも、とりわけ色落ちしやすいのは、赤と黒です。ちょっと前まで、陽にあたったり、洗濯を重ねたりして背のあたりが白っぽくなった赤い服や、茶色、あるいは羊羹色になった黒い服を着た人を見かけたものですが、今ではまったく見かけなくなりました。
色どめの技術は進んだのですが、堅牢に色どめできる染料は、環境を汚染する有害薬品として、日本国内では、1970年代から使用禁止にされています。
以前、横浜をはじめとして日本にたくさんの染色工場があった頃は、川の汚染が大きな問題でした。やがて染色工場は韓国や台湾に移設され、さらに中国、東南アジアへと移設され、日本の染色工場はほとんどなくなり、川の水はすっかりきれいになりました。
ところが、染色工場のつくられた地域の水は、今でも汚染され続けています。
日本の川の水が激しく汚染されていたのは1970年代までで、今では当時とは技術も違うし、設備を整えれば汚染された排水を川に流さないで済むと考える人もいるかと思います。
ところが染色工場は、中小の規模のものがおもなので、汚れた水を処理する設備を備えることは、まず難しく、安全で色落ちしない染料もつくられていないのです。
というわけで、赤や黒の色どめを堅牢にできる化学薬品を使うことが、日本では法律で禁止されながら、巷には色落ちしない赤や黒が溢れていますから、地球上のどこかの川が汚れていることになります。
このTシャツも色落ちしませんでした。
色落ちしないでよかったのですが、複雑な気持ちです。その陰で水や土が汚されていることが確かなのですから。
ラベルを見たらアルゼンチン製でした。
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