2015年2月5日木曜日

仮設小屋の思い出

今から約六年前に、母屋が一応住めるまでに出来上がり、それまで、やはり六年間住んでいた仮設小屋から引っ越ししました。

単管パイプ(鉄パイプ)を立てて、ビニールを張った仮設小屋は、住めば都でした。
当時は、離れた場所から通わなくてもいいのが嬉しくて、それまで一年半ほど住んでいた、近くの町のアパートに比べても、遜色がないように思っていました。
でも今考えると、やっぱり冬の夜は寒いものでした。
なにせ、鉄パイプは熱伝導率がよすぎます。冬は触ると掌が吸いつきそうになるほど冷たくなり、夏は部屋の高い部分は触れないほど熱くなりました。それでも、台風にもびくともせず、私たち夫婦と犬や猫たちの棲家となって、六年も雨露をしのいでくれました。

古い写真が目について、思わず見入ると懐かしく、埋もれていた写真をまとめてみました。


場所を決めて、仮設小屋のパイプを立てはじめたところです。


少し形になりかけています。


パイプを組んだ上に木を組み、まずビニールシートを敷いてから木の間に断熱材を落とし込み、その上に15ミリの合板を並べて床にしました。
奥の正面に見えているのは、設置する前の風呂桶、左の奥にはちらっと便器が見えています。左手前の短い塩ビ管は、台所の下水パイプ用です。


窓を取りつけたり、腰から下は板も張ったりするために、要所要所に木材を取りつけています。
右壁の下は、横に細い風を取り入れる開口部になっていて、天井の屋根が張り出した部分の横長の開口部から、夏は風が抜けるようにつくってあります。

これは、韓国自然農業の鶏小屋の設計を取り入れたものです。
原理としては、室内が暑ければ暑いほど、空気が上昇して上の開口部から逃げ、下の開口部から外の空気が入ってくるので、中が涼しくなります。
冬はビニールの垂れ幕を下ろして、開口部は閉めてしまいます。
誤算は、人間は鶏より背が高いことでした。足元は十分涼しいのですが、顔のあたりは暑いということがありました。


いよいよビニール張り、0.15ミリの厚さで、五年はもつとの保証つきですが、もっともってくれました。


下の息子がずいぶん手伝ってくれ、息子の友だちも手伝ってくれました。
それでも、完成までに、三ヶ月かかりました。


完成後の室内です。
光が強すぎるので、屋根のビニールに沿わせて遮光ネットを張り、さらに遮光ネットのパネル天井も取りつけています。


陽ざしが強い夏は、遮光ネットだけでは間に合わず、さらによしずも張りました。


台所は、小さいながら使い勝手の良いものでした。
何もかも、動かないで手を伸ばすだけで取ることができました。


台所に立ったときの背中の位置に食卓があります。
ここも、手を伸ばすだけで、何でも取れました。


当時の景色です。


その年の夏になっても、母屋の方はまだまだ、基礎ができてもいません。
仮設小屋と、それに続いてゲストハウスをつくっていた分、本工事が半年遅れて、草刈りにばかり精を出していました。
仮設小屋はもう取り壊してしまいましたが、ゲストハウスの方は、まだまだ役立ってくれています。





4 件のコメント:

  1.  いつも興味深く拝見しております。
    我が家も20年ほど前に鉱害復旧でプレハブ体験を、
    夏ではなかったので結構楽しん暮らしました。
    ただ床下の通気が悪い?ので使わない布団類は少しカビが発生していました。
    今の仮設住宅は当時に比べて進歩していることでしょーね。



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  2. 昭ちゃん
    今の仮設住宅には心をこめてつくったものもあれば、これをビジネスチャンスととらえて、工務店が適当につくったものも、いろいろあるようです。
    とくに、これまでの生活習慣などが一切考慮されないものが多いようです。たとえば、みんなの気配を感じたいのに閉じきった設計にしたり、逆にプライバシーが欲しいのになかったりと。カビは問題ありませんでしたが、問題はネズミでした(笑)。家をぴったり閉じ切れないので、ネズミが住み着き、夜にがりがりと籠や人形をかじる音が聞こえたり、押入れを開けたら、毛布の中に生まれたばかりのピンクの子ネズミたちがかたまっていたりしました。そのために猫を飼いはじめたのですが、ちゃんと室内のを獲っていたかどうか(笑)。パイプの両側にビニールを張っていたのですが、パイプの上をネズミが走っているのが見えました(笑)。

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  3. まわりにはたくさんセルフビルドのひとがいるけれど、
    春さんたちのビニールハウスは素敵でしたね。
    キッチンもこじんまりと機能的そうなのに可愛かったし、
    民具の大きなザルなんかも壁にかけられていて、少しも
    仮住まいっぽく暮らしてないのに感心しました。
    家をもっと気軽に考えるお手本みたいな家でした。
    なくなってしまって残念です。

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  4. kuskusさん
    とっても楽しく住んだけれど、あれが限界だったかも(笑)。
    日差しが強すぎて、人間や犬は動けるので除けられるから大丈夫だったけど、洋服掛けの洋服なんか上に布をかぶせておいたのに、肩だけものすごく色褪せてしまいました。もっとも、とっておいてももう着ないからいいんだけどね(笑)。
    何度かあそこで犬のお産に立ちあったりして、思い出深いところでしたが、建設の邪魔になったし、ビニールも劣化して、小屋の方も限界だったでしょう。もっとも、当時のパイプとか、今でもお勤めを果たしているけれど...。

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