2015年6月6日土曜日
匣鉢(さや)
我が家の土間入り口を出たところに立っているのは、入り口部分に設置する予定の雨どいの水を受けるための水受けです。
母屋に入居してから六年、そう不便も感じないので、雨どいをつけることは後回し、後回しになっていて、将来つくかどうかも、ちょっとわからないところです。
この水受けは、陶磁器を焼くとき、重ねて焼いたり、保護するためのさや(匣鉢)を利用しています。
さやと言えば、お皿を一枚ずつ入れて重ねたりする平たいものが一般的ですが、こんな細くて深い形のさやを使って焼く陶磁器は、どんなものだったのでしょう。
十年ほど前に骨董市で買ったものですが、骨董屋さんは室町時代のものだと言っていました。そんなに古いものかどうかは疑問ですが、細長い壺状のものを焼いたとも思えません。壺にさやは必要なさそうです。
とすると、お皿やなます皿を、倒れても大丈夫なように、このさやの中に重ねられるだけ重ねるという、使い方をしたのかもしれません。
もし、本当に室町時代のものとしたら、焼いたのは、「くわらんか皿」などでしょうか?
さやは上下が抜けた筒状のものだったので、夫が底を塞いで、底近くに銅管を通して、井戸水が少しずつ入るようにつくりました。
設置してからしばらくして、少しずつさやの胴に苔が生えるようになりました。
一度、場所を移動させるときだったか、中の水が少なくなったとき、苔が枯れてはがれ落ちたことがありました。
また、水の供給量が多すぎると、何故か水の中にドロドロの緑色の藻のようなものができて、それが縁から流れ出て苔を覆うので、汚らしくなるだけでなく、苔も窒息してしまいます。
縁から溢れているのが感じられないくらい、少しずつ補給されているのが、ちょうどいいようです。
苔は最初、一ヶ所だけでしたが、ほぼ全体を覆ってきました。
最初に苔がついたあたりは、こんもりと盛りあがっています。
一ヶ所だった苔は、そろそろ全体に回りそうです。
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