お金があれば、それを貯める容器が必要になります。
尼崎信用金庫に貯金箱博物館というのがあります。一度は行ってみたいなぁと思いながら、なかなか行けません。
その貯金箱博物館によると、アジアの貯金箱のルーツは、中国の雲南省、滇王(てんおう)一族の墓から出土した、今から、2100年前、前漢時代の「貯貝器(ちょばいき)」ではないかということです。
貯金箱博物館の写真 |
当時は「子安貝(こやすがい)」をお金として使っていたので、貯貝器はつまり貯金箱でした。
ヨーロッパでは、貴金属の小片などをいれてもらうために教会に置かれた「献金箱」が、貯金箱のルーツと言われています。
貨幣が登場する前から使われており、古代エジプトやギリシャ、エルサレムなどの古い遺跡で発見されています。
やがて、紀元前七世紀頃に貨幣が生まれます。そして、アテネやオリンピア遺跡からは、紀元前300年頃の、粘土製の、宝物寺院の形をした貯金箱が発見されています。
古代ローマの遺跡からは、三、四世紀の、洋梨型の陶器の貯金箱が数多く見つかっています。
この貯金箱は女性の乳房をかたどっているともいわれ、ヨーロッパの貯金箱の伝統的な形で、現在も、イタリアでは、よくこの形の貯金箱が使われています。
さて、『Piggy Banks』(SALVADANAI、Chronicle Books、1994)には、アメリカやヨーロッパのいろいろな貯金箱が紹介されています。
二十世紀初頭のイタリアの貯金箱です。
いわゆる、ローマ形の貯金箱です。
明治になって、貨幣制度が整い、倹約が奨励され、銀行や郵便局などの金融機関にお金を預け入れるようになりました。
また、家でもお金を貯めるように、貯金玉がつくられるました。
貯金箱博物館の写真 |
貯金玉は、持っているとどんな願いごともかなう 、「如意の玉(にょいのたま)」、つまり宝珠の形をしていましたが、これはローマ時代の貯金箱の名残でもあるイタリアの貯金箱を真似たものでしょうか?
宝珠に意味があるとしても、あまりにも似過ぎています。
そして、インドの貯金箱。
これもそっくりな形です。
たまたま、おめでたい形が似たのか、それとも貯金箱と言うことでローマの貯金箱を原型にしたのか、不思議なことです。
貯金箱は、英語ではどうしてPiggy Bank(豚の銀行)と呼ばれるようになったのでしょうか?
アメリカの絵本や児童書を見ると、子どもたちがお金が要り用になったときは、たいてい豚の貯金箱を叩き割る場面があります。
豚の多産にあやかろうと名前をつけたのかもしれませんが、私はアメリカの貯金箱と言えば、からくり貯金箱の方を想像してしまいます。
こんな貯金箱です。
実際、豚だけでなく、からくりも含めて、いろいろな貯金箱があります。
日本で、最初は「貯金玉」と呼ばれたのに、いつからか「貯金箱」になったのも不思議に思われます。
貯金玉は、東京浅草の今戸焼が発祥ではないかと言われています。
その後、各地の窯元でも、その土地に古くからある郷土玩具に穴を開けたものがあらわれ、 とくに、恵比寿、大黒、布袋、達磨、福助、招き猫などの縁起物が、いち早く貯金箱に変身していきました。
それらは「貯金玉」で、後に土以外の材料で量産されるようになってから、「貯金箱」になったのでしょうか?
これは『Piggy Banks』に載っていた、象の貯金箱です。
コインを鼻の先に置き、後ろのつまみを引っ張ると、象は鼻をあげ、コインが中に落ちる仕組みになっています。
片方が日本製、もう一方がアメリカ製です。
よく見ていると、どちらが日本製でどちらがアメリカ製か、わかってきますね。
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