2016年3月17日木曜日

サゴのお菓子

近所の大学生Yくんが訪ねてきてくれました。
Yくんは断続的に一年、先住民のNGOを頼って、マレーシアのサラワクに行っていたのですが帰ってきて、家で数日過ごした後、大学のある長野に帰っていきました。
大学では、林業を学んでいます。


そのYくんのサラワク土産、サゴヤシでつくったお菓子です。


マレーシアのボルネオ島のサラワクには、40あまりの異なった文化を持つ先住民たちが住んでいます。陸稲を主食にしている人たちがおもですが、中にはサゴのでんぷんを主食としている人たちもいます。
サゴのでんぷんを食べるなら、一ヵ所に定住して稲を栽培しなくてもいいわけですが、いまでは強制的な定住政策が進み、「森の民」は消えてしまいました。
サゴヤシは切り倒して、木の中に詰まっているものを取り出して、水にさらしてでんぷんをつくります。


この絵は、サゴヤシではなくてサトウヤシからでんぷんをつくっている絵ですが、サゴヤシのでんぷんの採り方も似ています。

できたでんぷんは、水で溶いて煮て、水あめよりちょっと硬めのものを、先が二股になったお箸に、巻き取るようにして食べます。
ちょうどお米のように、まったく癖のない味で、いくらでも食べられる、美味しいものです。


お土産を開いてみたら、パリッとした薄いお菓子が出てきました。
黄色かったので、
「もしかしてカレー味?」
と思ったのですが、食べてみたらココナツを削ったものが入っていました。


表と裏です。
「どうして、裏には線が入っているんだろう?」


説明書を読んで納得しました。
これは先住民のメラナウ人の伝統的なお菓子で、サゴのでんぷんと、新しくすりおろしたココナツの果肉に砂糖を加え、バナナの葉に広げた(塗りつけた)ものを焼いてあるのだそうです。道理でココナツの舌触りが残っていたはずです。
東南アジアのお菓子のほとんどはココナツ味ですが、それはココナツミルクを混ぜて出した味、削ったものを混ぜているのはそれとは一味違って、なかなか美味しいものでした。

Yくんの話では、今回、日本から短期にやってきた彼の先生Kさんたちとも合流して、たった5%だけ残っている手つかずの森に行くことができたそうです。

地球の気候を左右するボルネオの熱帯多雨林が、国立公園を除いてはたった5%しか残っていないというのも驚きですが、四半世紀前には、おもな町の周りにしか道路がなくて、ほとんどの交通は船に頼っていたサラワクに、今では縦横無尽に道路ができているというのも、驚きでした。
見たい気持ちより、見たくない気持ちの方が先立ちます。
世界最大の熱帯多雨林の、微妙なバランスの上に成り立っていた生態系は崩れ、多くの生物が知られることもなかったものも含めて、消えているのではないかと思います。








2 件のコメント:

  1.  またまた懐かしい地名が「サラワク」です。
    炭鉱最盛期サラワク炭田開発のプロジェクトが立上がり
    スタッフの一員になりました。
    そのうち安い中国炭や重油への切り替えで、、、。
    ボルネオの昭ちゃんだったかも(大笑い)

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  2. 昭ちゃん
    そんなことがあったのですか。歴史には知られていないことがたくさんありますね。サラワクには、ビンツルに大きな海底油田がつくられていて、マレーシアのエネルギーを賄っています。
    なにせ熱帯多雨林は太古からのものが積み重なっているはずだから、化石燃料である石炭や石油はいっぱいあるのでしょう。でも、その熱帯多雨林は限りなく危機的状況が進んでいます。

    その昔、サラワクの熱帯林に入ったときは、被っている布、着ている服すべてが、すぐじとじとになりました。いつも湿度が飽和状態に達していて洗濯物は乾かないのです。そのくらい湿潤でしたが、道路がいっぱいできたとのこと、乾燥が進んでしまったことは間違いありません。
    それだけでも多くの植物や動物が生きられなくなりますが、何せ熱帯多雨林は地球の加湿器ですから、地球全体に影響が出てくることでしょう。

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