2016年8月7日日曜日

同居する度量


大工さんたちの道具を見るのは興味津々ですが、驚くのは尺金(さしがね)です。尺貫法の尺金を使っています。
このときは置いてありましたが、いつも手から離さない感じで使っています。


私は、尺金よりコンベックスルールの方を多用します。
メートル法と尺貫法併記のコンベックスルールもありますが、メートル法だけの方が、ずっと使いやすく感じます。
ところが、大工さんがコンベックスを使っているのは、ほとんど見たことがありません。長い距離はどうやって測っているんだろう?
(追記:夫によると、大工さんもコンベックスルールを使っているそうです)


夫の描く図面にも、


プレカット屋さんの描く図面にも、メートル法の数字しか記載してありません。均等に割ったりした場合、ミリ単位以下は四捨五入してあります。

この図面を見て、大工さんは、頭の中でぱっぱと尺貫法に切り替えながらやっているのです。
やはり尺貫法で仕事をしている瓦屋さんが、垂木をつける前に、左右の出や、おさまり方法について打ち合わせに来ました。瓦の規格品は尺貫法でできています。
上下は、軒から葺きはじめた瓦が棟まで来たら、寸法に切り詰めることができます。ところが、左右はちょっと細い瓦などを使って収めるとしても調節に限度があります。そのため、あらかじめ下地を瓦を収め易い寸法にしておくのです。

材木屋さんも尺貫法とメートル法の併用です。材の太さや厚みは尺貫法で、長さは2間(360センチ)ものが主としても、ものによっては4メートルの長さのものがあります。これが、なかなか重宝するのです。でも、よどなど、4メートルものは絶対ないものもあります。
そして、合板などの近代素材は、182×91センチといったように、尺貫法をメートル法の近似値に置き換えたものが使われています。


ちなみに我が家で使っている尺金は、25センチ×50センチで、大工さんの持っている尺貫法の尺金とほぼ同じ大きさです。


幅は、尺貫法の尺金は5分(15ミリ)ですが、うちのメートル法の尺金は20ミリあります。メートル法で15ミリ幅の尺金も持っていますが、20ミリの方が内側にもメモリがあり、厚みがあって直角に線を引くときに 重いので安定感があり、もっぱらこちらを利用しています。
大工さんはきっと、「こんな重いものは使えない」と言うに違いありませんが。

このように、同じ現場で、尺貫法とメートル法が併用されているのが、 おもしろくもあり、いつまでも続いて欲しいとも思います。







2 件のコメント:

  1. これは興味深々ですね、
    私が現役時代使用していたのは裏がインチで
    鉄板はコンパスで直角を出しみず糸を弾きます。
     二等辺三角も便利ですね。
    職人さんは奥の手が一杯ありますね。(笑い)

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  2. 昭ちゃん
    すごいですよ、技の数々。垂木はちょっと長めのものを止めて、後から長さを切りそろえますが、墨壺で線を出した後は、小さい丸鋸を縦横二度あてて、切り離しは手鋸です。最初から大きい丸鋸で切り落としたら、欠けるところも出てくるだろうし、何より持って上がるのが重い!そこここに工夫があります。垂木はゆがんだりしているのですが、うまく使う。反ることを予想して、必ず木表を下にします。
    私たちの使いこなせない墨壺も常備していて、よく使っています。私たちは、昔ながらの墨壺を使っても、新兵器を使っても、墨をどぼどぼとこぼしたりして、ついつい定規を当てて線を引いてしまいますが(笑)。

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