2017年4月16日日曜日

よみがえった木の匙

欠けた木の匙を、お隣のくみさんに、また直していただきました。


三谷龍二さんの匙は、夫が、土鍋にこびりついたご飯をがりがりやって欠いてしまいました。
以前、小さい子が齧ってしまった同じタイプの匙は、漆は接着剤として使っても、塗らないで生地のままにしてもらいました。
でも今回は、割れ目が目立たなくなるし、丈夫にもなるので、拭き漆を塗っていただきました。
もともと、とても薄くできているので欠けやすいかと思いますが、薄いので使い勝手はとてもいい匙です。


新子薫さんののし杓子は、お客さまでばたばたしていたとき、引き出しを乱暴に開けたら、匙の先が引き出しに引っかかって欠けてしまいました。
新子さんの栗の匙は、100年持つと言われています。捨ててしまうわけにはいきません。というわけで、それもくみさんの手を煩わせてしまいました。

左が直してもらった方です。
くみさんのお話では、一回漆を塗ったけれど、あまりにも栗の木目が美しかったので、それを隠すのは惜しいと、それ以上は塗らなかったそうです。


そのため、目を凝らしてみると、傷が見えますが、目を凝らさなかったら見えません。
焼き物同様、直したものもまた、素敵なのが嬉しいところです。


これは、在りし日の新子薫さんのお写真です。
大塔坪杓子は、生の栗の木を削ってつくりますが、新子さんの後ろの壁にかかっているのは、その杓子をつくる道具の数々です。

戦前は大塔町では、たくさんの方々が杓子をつくっていて、この地の名産品でしたが、戦後は新子さんお一人がその技術を伝えて来られました。
幸い、お孫さんの新子光さんが、おじいさんに習って、後を継いでいらっしゃいます。
ただ、丸い杓子の作り方を習ったところで亡くなられたので、のし杓子はもう誰もつくることができないのです。



 

 


2 件のコメント:

  1. 家内の父も何でも作りました。
    まだ私が遊びに行った頃木臼を作りました。
    どういう道具で中を刳り抜いたのかなー
    孫ができ臼を貰いました子供用の杵つきです。
     永年使うのでひびが入ると番線を巻き
    なんと裏が臼になっていました。!!
    これには驚きです。
    どうして刳り抜いたか笑っていました。
     明治生まれは筋金いりだー

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  2. 昭ちゃん
    素敵ですね。生の時に刳り抜くというのは、木工の基本かもしれません。岐阜の方で、生で細工することにこだわって、洋の東西の生木細工のワークショップを開いている友人がいます。椅子、杓子、臼などそうですね。太鼓はどうなのでしょう?

    カンボジアではお寺で時を告げるのに太鼓を使いますが、ほぼ全国の太鼓をつくっている村がプノンペン近郊にありました。日本では太鼓も臼も欅ですが、カンボジアではどちらもタマリンドでした。どこの国にも、それに適した木があるというのも面白いことです。
    それにしても臼を自分でつくっちゃうなんてすごい!

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