2017年7月20日木曜日
飾り棚の住人(六)
土間入り口の飾り棚の最後です。
ここにはおもに籠のミニチュアを集めています。
今はどうか知りませんが、昔はお土産もの屋さんにありふれていた、タイのミニチュアの籠です。
これらはすべて漁具です。
小さいものは場所を取らなくて、かわいいとは言え、つくるのはたいへんです。
ひごは糸のように細く、しかも値段は、うそのように安いものでした。
魚籠(びく)には、「かえし」という、魚が飛び出さないように嵌めるものが、外せるようにつくられています。
日常生活の、いろいろな場面で使われる籠が、ほとんどミニチュアでつくられていました。
この蓋物の一つには、開けてみたら、1972年ごろ、友人Kが、お土産に買ってきてくれた、ナンバンアカアズキの象が入っていました。
やっと、一般人も渡航ができるようになったころで、Kは、おそらく日本の歴史上初めて組まれた、インド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコへのツアーに参加したのです。サラリーマンの月給が8万円ほどの時代、確か参加費は100万円ほど、辺鄙なところはチャーター機を飛ばしての旅行だったそうです。
ちなみに、Kは何も語りませんでしたが、少し遅れて企画された、初のチベット旅行に参加した友人Sは、お金をかき集めてやっと行くことができたけれど、貧乏人は彼だけで、ほかの参加者は、全部、学者、研究者、大金持ちなどだったと話していました。
インドでは、ナンバンアカアズキの象の容器が今でもつくられていますが、できがまったく違います。
今どき(といっても、15年以上前)のものは豆の中に、骨でつくった象が、5匹くらいしか入っていません。
中の象を、取り出すのも、しまうのも面倒だけど、出してみました。
長さが2ミリから3ミリほどの象が、合計31匹も入っていました。
インドにも、今はつくれる人がいなくなっているだろうと思われます。
フィリピンの籠。
同じ地域の籠ですが、つくり手が違うのか、時代が違うのか、右のものが細かくできています。
メキシコの籠。
Nさんがくれた判子。
鈴は、夫の母のもの。
そんなこんなが、土間入り口の飾り棚に飾ってあるものたちでした。
この飾り棚は、壁の形から思いついたものですが、わりと気に入っています。
かご作りは大変です。最近始めた私はすぐに指を痛めてしまいました(--;)。大きいのももちろん大変ですが、小さいのはもっと大変だろうと思います。材料も大体竹みたいだし、硬いだろうなあ…。眼もよくなくては…。慣れていればさっさーとできるのでしょうけど…。魚籠にかえしまでついているとは…。やはり心のゆとりですね。
返信削除それに、ナンバンアカアズキですか…?あんな小さな豆の中に象の形の細工物を入れるという発想自体すごいです。一つ作って入れるのだって大変なのに、5つも入っていれば文句はないです(^^)…。蓋の象の彫り物だけでもすごいです。はぁー…。
ありがとうございます。全部見ることができました。m(^ ^)m
karatさん
返信削除竹籠のミニチュア、指も中に入りませんから、ほんと神業です。しかも、彼らの使っているナイフは繊細な切り出しのようなのではなく、柄の長い鉈のようなものだと思います。竹を切り出すのから、ひごをつくるまで、たぶん同じ刃物を使っているのでしょう。
ナンバンアカアズキの中に入っている象に関しては、紙のように薄く骨をスライスするところからもうお手上げです。よく、日本人ほど手先の器用な人たちはいないという人がいますが、とてもとても。世界には、ありえないような手を持った人が満ち溢れています。
見ていただいてありがとう。