2017年8月7日月曜日

エールフランスのカトラリー


1975年、超音速旅客機コンコルドの就航を記念してつくられた、エールフランスの機内食用のカトラリーです。

機内食用のカトラリーは、2001年の同時多発テロ以後、ほとんどプラスティック製のものになったらしいのですが、かつてはどの航空会社も、金属製を使っていました。
しかし、どれも似たり寄ったりで特徴がない中で、エールフランスのものは、デザイン性の高いものでした。
それもそのはず、デザインしたのは、アメリカで活躍したフランス人のデザイナー、レイモンド・ローウィ(1893-1986)でした。

レイモンド・ローウィは、二十世紀を代表するデザイナーです。彼の名前を知らなくても、彼のデザインしたものを目にしたことのない人は、おそらく日本にはいないでしょう。
タバコのピースのパッケージ、不二家のロゴマーク、アサヒビールの缶、シェル石油の貝のロゴ、コカ・コーラのロゴやビンのデザインなどなど、誰もがどこかで目にしているはずです。

このカトラリーは、ヴィンテージ市場になかなかな高値で売りに出されていることが多いものですが、思いがけず嬉しい値段で見つけて、またもや、ものを増やしてしまいました。


機内の限られたスペースで使われるものなので、とても小さくつくられています。
もっとも、スプーンはスープスプーンではなくデザートスプーンなので、小さくてあたりまえ、機内食にはスープスプーンはつきません。

比較のために並べてみた左は、ドイツのWWF、アメリカで出逢いましたが、そのシンプルさに驚いたものでした。1960年代当時、日本のカトラリーはぼってりと重いものか、反対に薄くてちゃちなものばかりでした。引っ越しを繰り返したり、二か所に置いたりしているうち、デザートスプーンは失われてしまい手元にありませんが、デザートスプーンも割合大きなものでした。
真ん中は、柳宗理のカトラリー、こちらは、スープスプーンとデザートスプーンの両方が揃っています。


各航空会社の、野暮ったい機内食用カトラリーの中で、エールフランスのカトラリーと並んでデザイン性が高かったのは、日本航空のものでした。
これは、佐藤商事で製造したものですが、佐藤商事では柳宗理デザインのものには、マーシャン(火星人)マークを入れており、JAL機内用のカトラリーにもマーシャンがついているので、これも柳宗理のデザインではないかと思います。


柳宗理のディナーフォークとデザートスプーンと、JALの機内食用のカトラリーを比べて見ると、ほぼ同じ大きさです。


1980年代は、格安のエジプト航空やパキスタン航空ばかり利用し、90年代はやはり価格の安かったユナイテッド航空がおもで、あまりJALに乗ることはありませんでした。
それでもたまに乗ることがあると、スプーンとフォークを、声をかけていただいたり、ときには黙っていただいたりして、6本ずつ持っていました。

デザインもよく、使いやすい大きさで重宝しましたが、日本での生活ではほとんど使わないディナーナイフは、今思えばいい形でしたが、一本もいただいたことはありませんでした。


そのJALとエールフランスを比べると、エールフランスのフォークとナイフの小ささが目立ちます。


どんな料理が出されたのでしょうか?
あの、コンコルドの中で、みんながちまちまとこの小さなナイフやフォークを使っていたと思うと、愉快です。


「機関車から口紅まで」と言われた、レイモンド・ローウィーです。





 

4 件のコメント:

  1. かわいいカトラリー!とくにナイフがかわいいー。コンコルドはもうないから貴重ですね。検索したらエールフランスのエコノミーのカトラリーも持つところが白と青のオシャレ感抜群でした。レイモンド・ローウィは知りませんでしたが、デザインしたものは知っているものばかり。不二家なんて日本のお菓子屋さんのロゴマークも手掛けていたとは!依頼した不二家も凄いなぁと思ってしまいました。
    マーシャンマークっていうんですね。うちのボウルにもパン切り包丁にも知らないうちに火星人がいた(笑)!遊び心溢れる会社っていいですね。

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  2. hiyocoさん
    そう、ナイフが可愛いけれど、フォークも可愛いです(^^♪あれだけ小さかったら、端がまっすぐでも使いやすい、デザインがきっぱりしていますね。
    ところで、どこの航空会社のカトラリーも代り映えしないって書いたけれど、あとで調べたら、どこのもそこそこおしゃれでしたね(笑)。全然印象に残っていないんだけど、ただ私が角ばっているのが好きなだけかもしれません(汗)。
    金属製品のマークって、お皿なんかのロゴよりもっと小さくて目立ちません。老眼の目には「具」という文字にも見える火星人くん、あちこちにひっそりとたたずんでいます。

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  3.  コンコルドは機首の形がトラブルだったかなー
    日航機の鶴マークが変更になったとき
    機内食器の即売がありコーヒーカップと長方形の小皿を買いました。
    ホークやスプーンも買えばよかったー
    コンパクトで素敵です。

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  4. 昭ちゃん
    コンコルドは、機会があったとしても、あんまり乗る気はしなかったかもしれないですね(笑)。でも、一世を風靡しました。
    機内食用食器の販売があったのですか?コーヒーカップはエコノミークラスでも磁器だったかなぁ?磁器のお皿と言えばビジネスクラス以上ですね。
    鶴マークはいったん廃止になった後、2011年から戻ってきているようですね。変える必要がなかった、尾翼についた鶴のマーク、遠くからでも目立ちましたもの。

    1980年代は、エコノミークラスでも、ワイングラスなどもガラスでした。

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