先日、材木屋さんの、秋の大売り出しに行きました。
競りをする場所を覗いてみたら、いろいろな木に交じって古い木が置いてありました。競りと言っても、社長さんが最初から目安の値段をつけていて、たいていはその値段か、それよりちょっと安い値段から競りがはじまり、わりとあっさり欲しい人の手に渡るもので、下見をして、欲しい木があれば、お得な値段で手に入ります。
この競りには、当たったことはありませんが、別の楽しみもあります。全部が終わったあと、競った順につけた番号の中から、くじ引きをして、一等賞10,000円など、封筒に入った現金がもらえるのです。五等賞1,000円くらいなら、何本もあって、何本も当たっている人もいます。
さて、競りは午後も遅くですが、その日はお寺に講話を聞きに行く予定がありました。
ダメもとで、競りの前に買えないかと訊いてみると、
「いいよ」
と二つ返事、二枚の古い木をいただいてきました。
一枚は、青森ヒバの75ミリ厚の板です。
青森ヒバはもともとは、地域的にしか出回っていないものでした。
今売られている建材用のヒバは、ほとんどアメリカ大陸からの輸入物です。
青森ヒバなら、まな板だって5,000円もするのに、これは2,200円でした。
年輪は詰んでいて、とってもきれいです。
もう一枚は松、1,900円でした。
この、「無節」という字の美しさに、うっとりします。八分(24ミリ)板ですから厚みはそうありませんが、反りのない大きな板です。
松には、「キイ、オワセ、中岡商店」とあるので、ネットで調べてみたら、和歌山県尾鷲市に、今も中岡建材という店がありました。
日本列島の松は、ずいぶん前からマツクイムシにやられています。和歌山のあたりで、建材としての松が採れたのは、戦後まもなくまでではないかと思います。
いったい、材木屋の社長さんは、どこでこんな古い木を見つけたのでしょう。倉庫の片隅に眠っていたとは、考えられません。この木を競りに出したのには、何かわけがあるのでしょう。どこかの古い倉庫の在庫を丸ごと買ったとか、なにか人助けで買ったとか....。
その日は社長さんにお会いしなかったので、聞いていませんが、次回お会いした時、この木の物語を聞くのが楽しみです。
今のところ、どう使うかアイデアもないのですが、ただの棚板にするのではなく、毎日見て楽しめるようなところに使いたいと思っています。
なんだか切ってきれいにしちゃうのももったいないような板ですね!それでいて激安。片方の厚さが75mmというのもびっくりです。板に書いてある文字はステンシルのようなものなんでしょうか?いろんな型(テンプレート?)が揃っているんでしょうね。
返信削除hiyocoさん
返信削除そう、今も昔も材木への印付けはステンシルを使っていますが、昔の方が格段に丁寧ですね。柿渋を塗った紙のステンシルだったのかもしれません。たぶん、使う頻度の多いものだけ、特注でつくっていたのでしょう。
ヒバは二寸五分厚でしたが、寸単位でのステンシルしかなかったのか、五分は手書きでした。「厚平」というのも面白いです。バンドソーの製材機などなくて、手鋸で挽いたのか、厚みが適当で揃ってないのも売っていたということでしょうね。「厚平」がステンシルになっているということは、きっと自慢の品だったのでしょう(^^♪