おもちゃ骨董のさわださんは、三歳のとき椎間板ヘルニアで半身不随になったミニチュアダックスの、ミルキーの世話をしています。
発病するまでは、家に置いていましたが、お連れ合いも働いていらっしゃるので、この六年間は、暑い日も寒い日も、骨董市にミルキーを同行しています。ミルキーの下半身は感覚がないので、おしっこもウンチもすべて手をかけてやります。
昔、我が家の小春が、二度も椎間板ヘルニアに罹ったので経験済みですが、三歳から五歳のもっとも元気なとき罹る椎間板ヘルニアは、たいてい重い、手術を要するものです。早期に手術をすれば、下半身不随にならなくてすみますが、犬のMRIを撮るところは限られているし(例えば、茨城県にはない)、手術のできる獣医さんはもっと限られていて、しかもMRIセンターにも動物病院にも定休日があるので、発症して一週間以内に手術してもらえる幸運な犬は、とても少ないのが現状です。
ミルキーも、その手遅れ組みですが、下半身不随になって以後、「下館動物病院」を教えてあげたので、さわださんは郡山から下館まで、定期的にミルキーを連れて行っています。下館動物病院の院長さんは椎間板ヘルニア手術の名医で、全国を飛び回って手術をするため、病院に在院していらっしゃることはほとんどありませんが、それでも手術にはどこからでも駆けつけてくださいますし、普段はスタッフの方々が適切な対応をしてくださいます。
普通、おしっこができない犬の膀胱を絞ると、どうしても尿が残り、細菌が増えて腎臓を悪くしてしまいます。ところが、さわださんはとっても上手、獣医さんも感心するほど完璧にミルキーの世話をしてきましたが、その定期的な尿検査で最近、初期の糖尿病が見つかったとのことでした。
さわださんは、がっかりもしていましたが、糖尿との戦いに、静かに闘志を燃やしているようでもありました。 犬の糖尿病には、わずか1ミリグラムほどのインシュリンを注射しますが、さわださん、インシュリンのセットを持っていて、ビンは振ってはいけないとか、もういっぱしの専門家になっていました。
ミルキーは運動ができないので、糖尿になったのはやむを得なかったかもしれないのですが、さわださんは、サツマイモやカボチャを食べさせたのがいけなかったのではないかと、反省していました。でも、聞いてみたら、ほんのひとかけらだけでした。
そんなミルキーのため、さわださんは、糖尿食として、薄切りのキュウリと千切りキャベツを用意して持ってきていました。とっても真似できないきめ細やかさです。
さて、ミルキーの話だけして、何も買うつもりもなかったのですが、骨董市をぐるっとひと回りして、ミルキーに挨拶するのを忘れていたと、またさわださんの店を覗いたら、ちゃんと、私向けのおもちゃが用意してありました。
「うさぎ、かわいいっしょ。二つで300円」
「.....」
張り子のうさぎは、かわいいというより間延びしています。
でも、小指の先より小さい這子さんは、とってもかわいい子でした。
ただ、お尻に埃が積もって、拭いてもきれいになりません。肉眼では目立たないのですが。
インシュリンは高くはないけれど、病院代や糖コントロールの餌代など、ミルキーのための出費は、さらにかさむことでしょう。
さわださん、100円単位の商いをしながらよくやっています。
八郷から下館も遠いけど、郡山からはそれはそれは遠いですね。すごくかわいがられてミルキーも小春も幸せな犬です。でも動物病院の費用ってひえーってなりますよね。
返信削除hiyocoさん
返信削除ミルキーは、ほんと幸せ犬です。お医者さんに、「さわださんじゃなかったらとっくに死んでいただろう」と言われているそうです。
確かに費用は、良心的な医院でも、かさみますね。今行っているK先生は抜糸くらいはサービスでやってくれますが、いちいち診察料を取る病院も当たり前にあります。それでも、生存のすべてを人にゆだねている犬猫の苦境は放って置けませんしね。
先日はケガをした猫を連れて、医院に来ていた老夫婦、捨て猫が10匹も棲みついて大変だ、と言いながらもちゃんと連れてきて、おろおろしていました。しかも、経過が不安で、抜糸でもないのにきたみたいで、「今日は何もしなかった、診ただけですからいいですよ」と言われていました。隣のたけさんは、やはり捨て猫で困っていますが、「これからトラを医院に連れて行く」と言ったら、珍しいものを見るような目で見られました(笑)。人はともかく、犬猫は病院などには行かぬもの、行き倒れても仕方がないと思っているみたいでした。人、さまざまです。