木杓子をつくって売り歩いている男性の写真です。
いったいどこから見つけた写真だったか、すっかり忘れてしまって、今となっては出所も、どこの国のものともわかりませんが、1905年とだけキャプションをついけていました。
ロシアか北欧か、それともドイツあたりか、この木杓子を見ると、日本の木杓子同様、乾いた木ではなく、生木を削ってつくったように見えて、興味津々です。
木杓子のつくり方としては、大きくは生木でつくる方法と、乾いた木でつくる方法の二つに分けられます。
生木を削ってつくる木杓子は、日本のものでは岩手、群馬、奈良のものを知っていますが、かつては、農家の副業として、ほかにもいろいろ産地があったことでしょう。
そして、一番上の木杓子売りの写真を見ると、ヨーロッパの、どこかの国にも同じような木杓子をつくる文化があったことがわかり、嬉しくなってしまいます。
ちなみに、イギリスには、生木でつくるグリーンウッドワークの伝統があります。 モロッコの木匙も、生木を削ってつくったものかもしれません。
ところで、このほかの地域にも、生木で杓子をつくる伝統はあったのでしょうか?
間に合わせでそこらにある木の枝を払って、匙のようにするということは、行われていたかもしれませんが、生木でつくったものを使い続けるということがあったのかどうか、私は知りません。
杓子同様、なくてはならなかった日本のご飯しゃもじは、生木ではなく、乾いた板からつくったようです。
ククサをはじめとする、北欧の木杓子づくりも、乾いた木を削っているように見えます。
これは、2015年にコペンハーゲンの野外博物館で見たものですが、流木という、乾燥しきった木(時間を経た木)を削ってつくったものもありました。
これも、コペンハーゲンの野外博物館でみた杓子です。
これらの杓子は、生木でつくったものにも見えるし、乾燥した木を削ってつくったものにも見えます。
ひょうたんの取れたアフリカではひょうたんを削って、ココヤシの生えている東南アジアでは、ココヤシに木や竹を接いだ杓子が一般的に見られます。
そんな、簡単な材料が手に入るにもかかわらず、アフリカでも東南アジアでも、木杓子もよくつくられています。
木杓子にも、穀物匙もあれば、取り分けたりかき回したりする杓子、そして食卓で使う匙など、いろいろです。
ネットで探していたら、こんな杓子も見つけました。中国のものです。
つくるのが大変そうですが、桶職人がつくるのは、朝飯前だったことでしょう。
木杓子は、地域によって、似ていたり、違っていたり 。
左から、イギリス、フィリピンのミンダナオ島、インドネシアのスラウェシ島、コートジボワール、そして日本の形です。
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