2017年12月23日土曜日

引退していましたが


この箱を見て、すぐに何の箱かわかる人は、少なくなったに違いありません。

まだ、既製服を売ってないころ(1960年代初頭まで)、洋服はデパートで見本を見て注文するか、仕立てのできる人に頼むか、それとも自分でつくるかしかありませんでした。
あちこちの目抜き通りに布屋さんがあって、布を巻いたものを、店頭にうずたかく積み上げていました。布屋さんでは、暑くなると木綿など涼しい布を、寒くなるとウールなど暖かい布を売っていましたが、季節はずれには置いていません。例えば、冬に木綿を買おうと思って、何軒もの店を回っても、どこにも売っていないという時代でした。
誰もが布を買うと、布地屋さんの一角か、あるいは手芸材料専門店に行って、その布に合うボタンを買いました。
そんな、ボタンがこの箱に入っていたのです。


蓋は薄紙を貼って糊留めしてありますが、箱はホッチキスで留めただけの簡単なものでした。


そして、箱のふたの一面には、見本のボタンが綴じつけてあったのです。
見本と同じボタンが箱に入っているので、客が「これが欲しい」と指さすと、お店の人は箱ごと抜き取って、中から必要なだけボタンを取り出してくれました。


大きい店では、この箱をずらっと、百も二百も並べて重ねていました。千種類以上ものボタンを売っていたのです。

この箱は、こまごまとした古いものを売っているお店、「あんてぃかーゆ」で買い物をしたとき、包装箱として送られてきたものです。もっと大きいものを買ったときは、景品のコップの箱など、何かしら昔使われていた箱で送られてきました。
感心するのは、よくそんなに箱を取っておくスペースがあるということです。私など、箱が面白いから取って置こうと思っても、ついつい置き場に困って、思い立ったときに処分してしまいます。
そんな中、ボタンの箱は小さいので、今まで処分を免れて、三つになっていました。
 

捨てようかどうしようか、迷いながら手持ちのボタンで遊んでみました。


一気にかわいらしさと懐かしさが増しました。

鉛筆の形のボタンは、息子たちが小さいころ、服に飾りとしてつけていたものです。飾りならいいけれど、丸いもの以外は着脱が面倒で、ボタンとしてはとても使えないことを学んだのはこのボタンだったかもしれません。


猫模様の竹のボタンは、そういえば以前あんてぃかーゆで買ったものでした。


戯れに遊んでみたのですが、しばらくこのままにしておくことにしました。







4 件のコメント:

  1. おー、懐かしいです。最寄り駅の街中に野口ボタン店というのがあって時々買いに行ったものですが、いつの間にかなくなってしまいました。ボタンとちょっとした洋裁材料販売だけでは成り立って行かなくなったのでしょうね。既製服が普通になってきたから。
    それで、こちらはちょっといいボタンが欲しくなると都心まで出ないといけなくなりました。

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  2. karatさん
    あっはっは、karatさんもボタンの箱をご存知でしたね。
    渋谷のハチ公側の駅前には、高層ビルもなく、たくさんの布屋さんがあって、新しく服をつくってもらうときは母と出かけ、あっちの反物、こっちの反物、ひっくり返しては見たものでした。パッチワークをするために木綿布(ブロードと言いましたっけ?)を冬にやっと見つけたのは、自由が丘の電車の線路の下にあるお店だったか、1970年代になってからでした。輸出用の布だったようでした。そのあと、ユザワヤとかコットンフィールドとか木綿専門店ができました。
    ボタン選びも時間がかかりましたね。よく見たいのにボタンの箱が高いところにあったり、布映りがいいかどうか、なかなか決められなかったり...。
    いまは、この近くでもボタンを売っているお店は見たことがありませんが、何もつくらないせいもあるけれど、服を処分するときたいていボタンだけは外してとってあるし、熱帯で貝ボタンやココヤシの殻のボタンをいろいろ買い集めたりしたので、いまではボタンを買うことはなくなりました。

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  3. 懐かしいですね!サンプルが表に付いていて、中に在庫が入っているって気が付いたのは大人になってからだから、親と一緒に買いに行ったことはないのかもしれません。雑貨屋さんで売っているフランスのおしゃれなボタンはボール紙に縫い付けてありましたが、海外ではどんなふうに売っているんでしょうね。
    今は季節はずれの服しかないというか、これから本格的に寒くなるというのに春物しか売っていないという変なサイクル、なんとかして欲しいです!ま、おかげで毎年我慢して余計な買い物しなくて済みますが(笑)。

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  4. hiyocoさん
    hiyocoさんの年代でも、ボタンの売り方を知っていましたか。でも、hiyocoさんが大人になったころには、ボタンのセールスはもう斜陽だったかもしれませんね。
    海外のボタンの売り方はどうでしょう。ときおり、紙にまとまって縫いつけた、古いボタンのシートを、ネットの西洋骨董屋で売っているのを見かけます。彼女たちはシートでまとめて買ったのかなぁ。
    ここ数年はあまり服を買っていないのでわかりませんが、服はそんなに季節を先取りして売っているのですか?知りませんでした。もう、他人に見せるための服は必要ないので、楽ちん、楽ちん、着ていて薬な服しか着ていないし、破れるまで着ます(笑)。そういう意味では、とってもいい世の中になりました。

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