夫は、新しい、これまでやったことのない仕事に挑戦するのが好きです。
半面、前にやったことがある作業をまたするとか、同じ作業をずっと続けるというのが、とても苦手です。
それは大工仕事だけでなく、料理にも言えます。ある時は、冷蔵庫の残り物で、思いがけず美味しい一品をつくってくれることがありますが、いつも行き当たりばったりで積み重ねないので、ときには失敗、何とか食べられるという代物ができてしまうこともあります。
そんな夫が大工仕事で趣味に走るときは、こそこそしているのでだいたい察知できます。作業棟二階の三畳間のゲストルームも、そんな「燃える仕事」の一つだったようです。
「これは何?」
「子どもなら寝られるだろう。下は布団入れ」
ちゃっかり、上に敷くウレタンフォームも買っています。
「布団入れは、なんだかゴミがたまりそうね」
すでに木くずなどゴミだらけです。
「掃除するよ。測ったから布団はちゃんと入るよ」
「ここ、断熱材を入れてないと、布団が湿気るよ。それにベッドから子どもが落ちたらどうするの?」
「断熱材はキリがないから入れないでいいよ。壁も見えないところは張らないでいいだろう。それに、障子を入れるから、子どもは落ちないよ」
身体を捻じ曲げて布団入れに入ってみると、根太と床板の間に穴が開いたままでした。これでは埃や湿気だけでなく、ネズミやカマドウマも入ってきてしまいます。
「とりあえず、布団入れの中も床と壁を張るわ」
と、私は布団入れに潜ったり出たりしながら、穴をふさぎ、断熱材を入れて床と壁を張りました。
「甲板を張る前に相談してくれたら、布団入れの壁や床を張るのが楽だったのにねぇ」
といっても、面白いことは秘密でやるのが面白いのです。
「あのさぁ、相談があるんだけど」
大きいことはさすがに相談してくれます。
「なに、なに?」
「ここにキャンティーを出して、テラスをつくろうと思うんだけど、どう?」
「まだやることがいっぱいあるのに、どうしてこんなところで仕事を増やすの?」
「朝起きて、テラスに出たら自然を感じられて、気持ちいいかなぁと思って」
「ここに泊まる人は一年に数人でしょうよ。しかも過ごすのは母屋で、夜寝るだけだし。それに外に出れば自然がいっぱいあるのに、どうしてテラスに出なくちゃならないの?テラスは腐るし、落ち葉がたまるし、ここには屋根がないし、だいたいテラスの掃除は誰がするの?だめだめ断固反対よ!絶対反対!」
と、私はいきり立ちます。
夫は、私の剣幕に押されていったん引っ込みましたが、なんとかここで遊ぼうとして、しばらくしたらまた声をかけてきました。
「出窓くらいならいい?」
「ほんとに出窓だけでしょうね?」
かくて、寒いのをものともせず夫の作業が続き、キャンティーが出されました。
「出窓にしちゃぁ、ずいぶん出ているね。屋根は?」
「はいはい、まかせてください」
どうせ、私たちの建設そのものが「道楽」ですから、文句を言うのはお門違いですが、浮き浮きとやっているのを見ると、つい、怪しいと思ってしまいます。
この作業で、太い梁に長いドリルでいくつもの孔を開けたため、夫は右肩を痛めてしまいました。何日も痛がっていて、泣き面に蜂、ちょっと風邪もひいてしまいました。
道楽も楽ではありません。
追記:
壁と床を張ったところです。
燃える仕事=萌える仕事なんですね。思い描いてホクホクしている旦那さん、楽しそうです。でも子供が寝るスペースに障子の仕切りは、すぐに突き破られそうですね(笑)。
返信削除hiyocoさん
返信削除なんか、こそこそと楽しそうでしょう?最終的にどうなるか私はまだ知りません(^^♪
子どもが寝るスペースの写真を、追加しておきました。腰壁があるので、寝てて障子を足で蹴ったりはしないだろうけれど、寝ぼけて、一階まで落ちるのが心配です。
でもどこの子も大きく育ってしまって、ここに寝るような子どもが泊まるかどうか(笑)。それにいま、「鴨居つくるの忘れてたからつくって」と言われているんだけど、どんな間隔で溝を彫るか、敷居の溝との関係を考えるのが面倒で、うっちゃっていますし、障子の制作もあります。障子はゲストルームの入り口にもつくるらしいけれど、誰がつくるの?誰が紙を貼ったりするの?という問題があるしねぇ(笑)。