2019年5月23日木曜日

張り子の猫たち


またまた、招き猫のお話を。

展示室を、一度に全部大掃除するということはありません。気がついたとき、部分的にちょこちょこっとほこりを払います。
さて、その日は張り子の猫たちをさがし出して埃を払ってやることにしました。
先日、ほかの場所を片づけていて手に取った張り子の猫のこと、久しぶりに見た気がして、ちょっと目にかけていなさすぎたかな、と思ったのです。
点検しないでもしっかり頭にある、高崎張り子、春日部張り子、多摩張り子六原張り子などは、掃除から除きました。


ところが、最初からつまずきます。
大きい張り子猫を取り出してほこりを払おうとしたら、前に置いてあった猫たちを全部どかしたのに、どうやっても出すことができません。
「えぇぇ、どうするおまえ?」
2011年の地震の後に取りつけたアルミ棒を、抜き取れば取り出せますが、これまた苦労して入れたもので、ちょっとやそっとでは抜けません。
というわけで、棚から出さない(出せない)ままでほこりを払い、後ろにやったり前にやったりして棚をぞうきんで拭いて、掃除を済ませました。ということは、黒猫の掃除は8年ぶりということです。
なんだか、在宅介護サービスをしているような気分でした。
やれやれ。


埼玉県の川越張り子。
もともと明治のころから川越のだるまがあり、それが今も続いているのだけれど、それとは別に荒井良さんが1990年ごろからつくられている、「工房もんも」の張り子です。


明石美穂さんの「椿の花の猫」。


これは、底にちゃんと表記されているのです。


後ろに、「杉本チヨと作者名が書いてあるのに、どこのチヨさんか、わかりません。
いったい、どこのチヨさん?
底にも、金で大きく「寿」と書いてあります。何が寿だったのでしょう?


こちらは、道楽かん工房の鯛持ち猫。 


張り子は地震で、土人形のように割れることはありませんでしたが、つぶれたり、胡粉が剥げたりしました。
どちらも、地震で顔を負傷してしまった猫です。
どこの猫たちかは不明ですが、右はなんだか浅草の仲見世の、「助六じゃないお店」に並んでいそうな猫です。郷土玩具ではない、お土産ものにしては手づくりっぽい、何故かこんな猫や犬が、昔は浅草の普通の土産もの屋には並んでいましたが。
どこから来た猫でしょう?
  

これも、誰の作かわからず、どこで手に入れたか忘れました。
左の猫は、ビニールハウスの仮設小屋に住んでいた時代に、耳をネズミにかじられてしまいました。


そういえば、インドの紙塑の猫も足をネズミにかじられてしまっています。
どちらも、使ってある糊がおいしかったのでしょうか?


こんなことがあり、2003年に猫屋敷からトラがもらわれてきました。
もらわれて来てすぐなのに、もう犬のウナギに耳を甘噛みされて、左耳が損傷しています。


もっとも、母猫と間違われたウナギのおっぱいも赤く腫れあがっていましたが。



おっと、招き虎の紹介は忘れてしまいました。
この虎、棚から出られなくなった黒猫と同じ場所でつくられたもののようです。






2 件のコメント:

  1. おはようございます。
    招き猫というと今では陶器製の物が多いですが、張り子にもすてがたい魅力がありますね。型を使っているのに1品毎に表情が違っているので、沢山いる中から好きな表情を選んだり、偶然の出会いを楽しんだり出来ます。最近の張り子だと一見無作為のようで実は作為的だったり、はじめから素朴さを狙ったりしている物もありますが、それはそれで良いものではないでしょうか。
    あと、犬と猫の写真が可愛い!
    「在宅介護サービス」のたとえも笑いました。

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  2. かねぽんさん
    精密につくろうとしたら、やっぱり土人形でしょう。でも張り子にも練りものにも、「軽い」というよさがあります。例えば上方の人が子どもに江戸土産を買うとしたら、土人形より軽い張り子の方がよかったでしょう。もっとも江戸土産なら張り子犬ですが(笑)。
    張り子の猫は多くはだるま制作者によってつくられたようです。ネズミ大敵の養蚕と関係があったのでしょうね。

    犬が一匹だった我が家は猫を迎え、その後犬に子どもが生まれ、母犬の母犬を引き取りと、犬猫4匹時代を迎えましたが、今は猫のトラが残っているだけです。

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