そのため、あばりに親しみを持っていましたが、最初に竹製のあばりをしげしげと見たのは、プノンペンのおしゃれな雑貨屋さんででした。
細いの、長いのいくつかあり、これが欲しいと言ったら、西洋人の店主さんに、
「これはディスプレイ用で、売りものではない」
と言われたものでした。
それから、何とか竹製のあばりが欲しいと自分でつくったりもしていましたが、今回の北海道の旅で、あばりは単独ではなく、常にあげ(目板)とはさみとセットで使われていたことに気づきました。
百聞は一見に如かずでした。
左側の、ただの竹の板が目板です。
目板は、漁網の目をそろえるのに使います。
はさみは、漁網の修理になくてはならないものでした。
携帯用のあばり入れにはたいてい、はさみがなくならないように、紐でくっつけてありました。
それにしても、刃の短い握りばさみは、初めて見る形です。
ところが、漁師さんがあばりと共に使っていたのは、刃の部分が極端に短いはさみです。
彼らは、細い糸ではなくてタコ糸のようなちょっと太いものを切っていたはずですが、それにしても刃渡りが短いのには、何か理由があったのでしょう。
私の持っている握りばさみのうち、大きいものは古いものです。
祖母の裁縫箱などにも、あばりと共に使われたような、刃が短いはさみはありませんでした。
握りばさみは日本で生まれたものではありません。
写真は、トルコ北東部で出土した、2世紀ごろの握りばさみです。これはむしろ刃の部分が長いものです。
西洋の羊の毛を刈る握りばさみの刃も、三分の一以上あります。
左端はタイの骨董屋さんで見つけたはさみですが、これも刃が半分以上の長さです。
北海道で見たあばりは竹製のもの、北海道には竹は生えていないので、漁師さんたちはすでにつくられたあばりを買ったものか、あるいは運ばれてきた来た竹を自分で削ってつくったものかわかりませんが、いずれにしてもあばりは本州以南から来ています。
ということは、ほかの地域の漁師さんたちも、刃の短いはさみを使っていたのでしょうか?
知りたい気持ちがいっぱいですが、これは全国の漁村の資料館のようなところを訪ね歩かないとわからないことかもしれません。
姐さんコメントが行ってないようなので再度
返信削除海岸の汀には「カスプ・CUsp」と称する形状があり波が寄せるたびに
礫の音が響きます。
礫の中にはめのう・珪化木・岩石類が摩耗し丸くなり純度の高いメノウほど
太陽にかざすと美しいです。
礫の音を聞きながら一日遊べますよ。
昭ちゃん
返信削除再度ありがとう。でも見ましたよ(^^♪
カスプとは三角州の一形態ですね。多分あまり行ったことがないと思いますが、これから行けるといいです。
想像ですが、網糸が切れればいいので長い刃は必要ないのでは?うちの糸切ばさみも3分の1ありますが、先端しか使わないので本当はそんなに長さは必要ない気がします。ただ、刃の面が広い方がぴったり接しやすいとかあるんでしょうかね。海で使うなら錆びやすいだろうし、刃が短い方が手入れが簡単かもしれません。
返信削除余談ですが、たぶん春さんは海岸でカスプを目にしていると思いますよ(笑)。ビーチカスプで検索してみて下さい。
hiyocoさん
返信削除そういう意味だったら、糸切りにしか使わない家庭の握りばさみには、もっと短いのがあってもいいと思いませんか?
でも、今思いついたんだけど、糸切りってはさみの先端を主に使いますよね。でも、タコ糸切りとか漁網切りは先端は使わないかもしれません。あばりとセットのはさみの先端はどれも丸っこいし。
もしかしたら、糸切りばさみと漁網切りばさみは、似た形だけれど、使うところが全然違う可能性もありますね。面白い!
ビーチカスプ見てみました。こんなにひだひだできれいなのは見たことがないかも。でも、海岸線(地形)と漂着物は関係あるとは思っていましたが、地形によってできる波はあまり考えたことがなかった。今度から意識してみてみます。ありがとう。