復刻猫だけでなく、『猫のポット』(荒川千尋著、風呂猫発行、2019年)も発売されました。
猫形のお茶ポットについて書かれた本は、これまであまりないと思われます。
猫のポットだけでなく、様々な形をしたポットは、紅茶文化を背景にヨーロッパ、とくにイギリスでつくられました。また、もう一つのお茶文化圏である中国でも猫のポットがつくられましたが、どちらが先だったのか、お互いに関係しあっていたのかなどは、いまだによくわかっていないようです。
日本では、1930年ごろから輸出向けの猫のポットがつくられましたが、とくに第二次世界大戦後、さまざまな猫のポットがつくられ、輸出されました。
瀬戸から輸出された猫のポットに関心を持たれた板東寛司・荒川千尋夫妻は、さまざまな猫のポットを、おもにオークションサイトのeBayで、約350点手に入れられ、本になさいました。
ちらっとeBayをのぞいてみましたが、欧米ではコレクションアイテムなのか、とても手が出ないお値段、それきり猫ポットのことは忘れていました。
そんな猫のポットは、骨董市でも時折見かけます。
先日は、玩古さんの親父さんが大小3つほど持っていました。
見ていると、
「これ、中国製だよ」
と親父さん。
「知ってる」
中国製、しかも底にMade in Chinaとある新しいものなので、お値段は二束三文でした。
小さい、絵つけしたのを買えば場所を取らないので、どちらにするかちょっと悩みましたが、絵つけしたのは似たのを持っているので、茶一色の大きいのをいただきました。
以下は、『猫のポット』に載っていたポットたちです。
1930年代 |
イギリスのポット。
1950年代 |
ドイツのポット。
1950年代 |
日本から輸出された、黒猫のポット。
名古屋九谷、1930年代 |
『不思議な国のアリス』のチェシャ猫、『マザーグース』のバイオリンを弾く猫など物語の猫のポット、クリバン・キャット、トムとジェリー、ガーフィールドなどキャラクターのポットもいろいろあったようでした。
1950年代、日本製 |
『猫のポット』は、猫のポットの多様さに驚くとともに、坂東・荒川夫妻の集めるエネルギーに感心してしまった一冊でした。
名古屋九谷なんてのあったんですね、初めて知りました。猫のポット、明治時代に作られた三重県四日市の萬古焼にとても面白いのがあるんですよ。春さんがぜったいに一目惚れしそうなデザインです♪
返信削除hattoさん
返信削除ええっ、明治のころですか?万古焼のポット、見てみたいです。遊び心のある職人さんがいたのですね。
戦前、焼きものが一大輸出産業として隆盛を極めた名古屋には各産地の職人が集まってきたそうで、名古屋九谷はその中の九谷から来た職人さんがつくったものだそうです。
時代を越えてよいものはよいのですが、手仕事の質が違うのか、やっぱり古いものは見事です。載せませんでしたが、1800年代につくられたスイスの猫のポット、とっても素敵でした。
萬古焼の古いものはほとんど残っていないのですが、内田さんという陶芸家が骨董屋を巡り歩いて買い集めたものが国内では貴重な資料かと思います。作品を見ることはなかなかチャンスがないですが、昨年、それら一挙展示会がありました。図録なら手に入るかもですね。「ここはばんこの焼きのまち!」内田鋼一(監修)発行:萬古陶磁器振興協会組合連合会。郵便510−0035 三重県四日市市陶栄待ち4−8号電話:059−330−2020に問い合わせみるとよいかもです。私はその江戸期から明治にかけてのコレクションを見てたまらなく萬古焼に取り憑かれました。現代の萬古焼とは全く印象が違い色彩豊かな焼き物です。ここに写真が貼れなくて残念です。本が手元にあるのに〜。涙
返信削除追記:「萬古焼の粋」という図録にも写真があります。問い合わせ先は同じくです。私はこの2冊を展示で購入です。
返信削除hattoさん
返信削除そうなんです、残念ながらコメント欄には写真を貼れないのです。
で、Amazonでみたら、『ここはばんこの焼きのまち!』はありましたよ(^^♪表紙もかわいかったので、ポチっとしました。『萬古焼の粋』の方は、Amazonでは見つかりませんでしたが、とりあえず『ここはばんこの焼きのまち!』を眺めてみます。貴重な情報をありがとうございました。
今では萬古焼は、手作り感が感じられない印象です。何でもそうですが早くたくさんつくろうとしたとき(時代)に、大切なものを失った、それではいけないとのちに手作り感を出そうとすると、薄っぺらになってしまう、そんな印象でしょうか。
萬古焼だけでなく、万事がそんな感じですが(笑)。
hattoさん
返信削除Amazonに『知られざる萬古焼の世界』(内田鋼一著)もありました。
高いので買わなかったけれど、ほんの中身が見られるようになっていて、キューピーや笛などがあり、興味津々でした。
『季刊銀花』の初期のころ、秦秀雄が美しい萬古焼についてよく書いていたのも思い出しました。
キューピーさんは、その春さんが買った本に載っているので安心してください。笑 40〜41ページが猫の急須とか春さんごのみの作品がいっぱいです。42ページがキューピーさんです。あと、急須の木型(分割)のページも春さんが涎を出しそうな予感です。笑 (この内田さん、私の高校時代の後輩にあたることをのちに知りました。)春さんのおっしゃる通り、大量生産の時代が無くしてしまった「ほんもの」のものづくり、日本では復活する日はこの先ないような気も...。明治時代までの工芸は本当に緻密で職人の魂が宿っています。今は様々な作品が「薄っぺらい」設えに。古いものを見て学ぶこと多しです。(陶芸にかかわらず、掌に乗る小さなものから建築のような大きなものまで)
返信削除hattoさん
返信削除楽しみにしています(^^♪
hattoさんのおっしゃる通り、今では心意気でつくったものはなくなって、かかった時間はお金に換算されてしまいます。
たぶん、古い時代を再現したりコピーしたりするのではなく、新しい時代の方法で生み出されるものでしか、新しい魅力的なもの作りはできないのかもしれません。