2020年9月21日月曜日

弁慶

我が家の近くの骨董市は、入り口で消毒して検温しますが、以前通り開かれるようになりました。
入口あたりで、いつも陽気に店を開いている骨董屋さんの店先に、わらを束ねたものが置いてあったので、何だろうと訊いてみました。
「ほら、囲炉裏の上に吊るすやつ」
「あぁ、アユとかを燻製にするのに刺しておくのね」
「そうそう、この魚籠と一緒に出て、魚籠が川魚用だから、アユとかヤマメだね」
その横には、りっぱな魚籠がありました。
その時はそのまま店を離れましたが、いろいろな店をのぞいての帰り道、やっぱりそれを見てしまいました。忙しそうにお客さんの対応をしていた骨董屋さんに、隙をみて値段を訊いてみると、
「1000円だよ」
とのことでした。



ちょっと高いと思いましたが、稲わらがいぶされていい色になっています。
お土産用につくられたものでも民芸品でもない、本物です。たぶん二度と出逢うこともないでしょう。千円札を取り出して、お客さんの対応が終わるまで骨董屋さんを待ちました。
そして、
「これもらいます」
と言うと、骨董屋さんは目を丸くして、
「えっ、買うの?そのまま買うの?そんなときは500円にしてって値切らなきゃ!」
と言って大笑いしました。
私は、アフリカや東南アジアで、さんざん値切る人生を生きてきました。夫から、
「そんなもの値切るなよ」
と注意されても、
「いえ、これは仁義だから」
などと言って、10円と言われたものを値切り倒して5円で買ったりしていましたが、最近はほとんど顔見知りの骨董屋さんからしか買わないので、値切るということを忘れていました。
「おれ、アマノジャクだからさ、500円で売ってとか言われると1000円だよって言っちゃうけど、そのまま買われたら困るよ」
骨董屋さんはそう言って、ポケットから、500円玉を取り出して渡してくれました。ここでは、前に1、2度は買ったことがありましたが、面白い骨董屋さんでした。

さて、これの名前は何?
調べると、「弁慶」ということがわかりました。


串をたくさん刺すと、身体じゅうに矢が刺さっても倒れなかったという弁慶を想像させるからでしょうか?


稲わらの根元を結わえ、結び目を中に隠すようにして、ところどころをタコ糸で縛って、形を整えています。


上三分の一ほどは二つに分けて、それぞれ三つ編みにして、最後にそれを合わせてまとめています。最後が一番難しいと思われますが、きれいに処理されています。


さて、どこにぶら下げましょうか?
もともと、ものがあふれているので、よい場所があるはずもありません。あまりごちゃごちゃとぶら下げるとその奥の棚のものが見えにくくなるのですが、この写真の右側のあたりの隙間にぶら下げてみることにしました。


やっぱり邪魔ではありますが、ここと決めて、刺すものを探します。
たくさんあると思っていましたが、意外に少ないことがわかりました。


キブナやミミズクなど、串が太いものは、弁慶を傷めるので刺すことができません。


刺すものが、張り子犬くらいしか目につかなかったので、一度はオカメザサに吊るしたものの、今では箱に入れているお正月飾りを取り出しました。


庭の竹箒から竹を一本引き抜いてきて、それに赤い糸で正月飾りを結びつけます。


できた正月飾りと張り子犬を弁慶に刺してみましたが、ただごちゃごちゃしただけに見えます。これでは、弁慶のよささえ感じられません。といって、ほかにいい場所もないしなぁ。


引き算ではなく足し算して、ウスタビガの繭も加えてみました。







2 件のコメント:

  1. 話題の尽きないブログですねー
    弁慶の立往生まで、、、
    お助け1号が子供の頃チャルメラの笛が怖いーって
    傍に行って見せたら怖がらないように、、、。
    寒い冬の寂し音です。

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  2. 昭ちゃん
    はっはっは、弁慶と知ったら、すぐに矢が刺さった姿が浮かびました(^^♪

    私も映画やテレビでチャルメラの音はよく知っていますが、実際聞いたことがないと思います。あるかなぁ?
    それに比べると、プノンペンの夜鳴き蕎麦の音は、すごく懐かしいです。たぶん竹筒のいろいろな場所を叩いて変化をつけていたのだと思いますが、独特の節回しで、いつもおそばが食べたくなりました。

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