2020年11月25日水曜日

唐笠のろくろ

轆轤仕事のことで、消えつつある和傘の「ろくろ」を思い出しました。



手元には、ビルマの傘とタイの傘しかありませんが、原理は和傘と同じです。上がビルマの傘、下がタイの傘です。
傘のてっぺんにみえているのが、「ろくろ」、岐阜県に住む友人が、「ろくろ」の伝承に力を入れています。



和傘はろくろ部分をすべて油布で覆って、木部が見えないように保護していますが、ビルマの傘もタイの傘も、基本は雨傘でなく日傘なので、雨にも対応できるように油布は使っていますが、てっぺんの木が見えています。


この絵のように、ろくろには、「天ろくろ」と「手元ろくろ」があります。
どちらも、傘の骨を収めるための切込みが入っています。



ビルマの傘を開いたところ、「天ろくろ」の切込みが見えています。



そして、タイの傘を開いたところ、どちらも切込みの美しさが目立ちます。


そして、開閉のために上下に動かす「手元ろくろ」です。


タイの傘は日本の傘のように骨がまっすぐですが、ビルマの傘は骨がちょっとたわんでいて優雅。小豆色の衣を着たお坊さまたちがみんなこの傘をさして、列をつくって歩いているさまは、とても絵になっていました。
ちなみに、お坊さま以外でこの傘をさしている人は、見かけませんでした。


唐笠という名前があるほどですから、もとはといえば中国から来たものなのでしょう。
ビルマの傘もタイの傘も、骨には紙ではなく布を貼っています。


追記:

hiyocoさんのコメントに、岐阜で傘ろくろの材料であるエゴノキを共同で切り出したという記事を見たとあったので、それにかかわっている友人のKさんのFacebookを見たら、日本でただ一人の「傘ろくろ」職人の長屋一男さんがつくられた轆轤の写真が載っていたので、転載させてもらいました。


長屋一男さんはこのたび、岐阜県の卓越技能者として県知事表彰を受けたそうです。

 



8 件のコメント:

  1. すごい仕組みですね。天ろくろとか手元ろくろなんて初めて聞きましたが、手元ろくろの切込みとか張り巡らされた糸とか、傘骨の切込みとか…。
    その技に感動します。そこに防水の紙を貼り、水が垂れてこないように天ろくろにも防水…。参りました。

    あと,からかさ、って唐笠と書くのだとこの歳で認識しました(^^;)。「~一人でからかささしてゆく~♪(雨降りお月様)」という童謡も思い出しました。

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  2. 木地屋さんでの記事のコメントで、傘にろくろがあると聞いて興味津々。ネットで傘のろくろを見て、和傘のろくろはエゴノキで作られ、その職人さんが岐阜に2人いるだけ、エゴノキを切り出す人がいなくなったので、和傘関係者が共同で切り出していると知りました。しかもエゴノキの切り出しが一昨日行われたと岐阜新聞Webに載っていました!タイムリーでびっくりしました。春さんのお友達もエゴノキプロジェクトのメンバーでしょうか~。
    私のビニールジャンプ傘にも、プラスチックですがろくろがありました(笑)。

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  3. 追記。ろくろを作る方は現在お一人になってしまったようです。

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  4. karatさん
    ろくろを見ると、ほんと、目立たないところというか縁の下の力持ちというか、社会がいろいろの人の働きで成り立っていたと思い知らされます。
    私の小学校では、低学年のときだけでしたが、置き傘というシステムがありました。油紙を張った番傘を教室の高いところに並べて吊り下げてあって、急な雨のとき、親が迎えに来なくてもよくなっていたのです。あまり使った覚えはありませんが、小学生には重くて持て余すものでした(笑)。
    開くと、油紙がくっついてぱりぱり音がして、油紙の匂いがぷーんとしました。家には、こうもり傘もありましたが、学校で全員が番傘を置き傘にしたということは、そちらの方が安かったのでしょうね。その一つ一つがこんな細工をしてあったなんて、今だったら罰が当たるので、粗末にできません。

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  5. hiyocoさん
    素早いですね!
    そうそう、忘れていたけれどろくろはエゴノキでつくるのでした。
    あまりfbをのぞかないので気がつかなかったのですが、のぞいてみたら、エゴノキプロジェクトのこと大きく出ていました。
    hiyocoさんは、9年目と書かれた写真も見ましたか?その写真の左端にいるのが友人、仕掛け人です。彼は岐阜の鵜飼の鵜を入れる籠をつくる人がいなくなったのを知り、ワークショップを企画して籠師を育て、今ではそのワークショップ出身者が鵜を入れる籠をつくっています。
    だから、和傘も何とかなるのではないかと思いますが、綱渡りですね。

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  6. hiyocoさん
    ろくろの写真を追記として載せました。
    タイムリーでしたね。ありがとう。

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  7.  子供の頃隣が洋傘店なので一日中座り仕事の小父さんを見てきました。
    先端のキャップ・石突きは糸を巻きニカワでとめます
    デパートに卸しているとか当時は全て家内工業です。
     何事も職人の手仕事は見事ですね。

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  8. 昭ちゃん
    下駄屋さんは鼻緒をすげてくれるし、時計屋さんは目に特殊眼鏡をはめてなおしてくれるし、みなさん職人さんでしたね。
    漁師町の親戚に行くと、向かいの店で下駄を買ってもらうのが楽しみでした(^^♪

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