日本では丸い形の魚籠(びく)しか見たことがなかったので、タイでこの形の魚籠を見た時は、目が釘づけになってしまいました。
確か、最初は絵葉書で見て、その後は籠屋さんをのぞくたびに
「あの形の魚籠を置いているかな?」
と探して見つけたものでした。
これは、タイ語で「コン・ペッ=アヒル型魚籠」と呼ばれる魚籠で、地域によって籠師さんによって少しずつ形が違います。
『THAI FORMS』に載っていたコン・ペッは、水に浮くように竹を添えてありますが、元からなのか、使う人の工夫なのかは解りません。
『Museum of Folk-Culture』には、こんな形のコン・ペッも載っていました。
これもまた、タイの典型的な魚籠です。
肩が張っています。
日本でもこの形の魚籠は、九州地方だけに見られました。
廣島一夫さんの魚籠(シタミ)、美しさにうっとりしてしまいます。
これは鹿児島の魚籠(腰テゴ)です。
国立民族学博物館所蔵 |
ネパールにも、編み方は違うけれど同じ形の魚籠があります。
これもきっぱりした形の魚籠です。
ぶら下げるようにできていませんが、くびれたところに紐をかけるのでしょう。
タイの魚籠は、口にはめる「蓋」も様々な形をしています。
肩が張った6枚目の写真の魚籠を、路上に籠を広げた籠屋さんから買ったとき、この形の魚籠にはどれも蓋がついてなかったので、
「おじさん、これ蓋がないよ」
というと、おじさんは別の形の魚籠から蓋を取ってきて、大きさのちょうどいいのをはめてくれました。
この蓋をよく見ると、編み終わりに竹を留めるとき、潰してねじって差し込んでいます。たかが蓋、されど蓋、いろいろな工夫があることにびっくりします。
魚籠に蓋があるなんて知りませんでした!中に落とし込む(はめ込む)形って、入れ物の蓋としては面白いですね。多少大きさが違ってもなんとかなる、しなやかな素材ならではですね。
返信削除hiyocoさん
返信削除蓋は例の筌(うけ)の形とほぼ同じ、捕まえたのを生かしたままで水に沈めて置くときに役立つような蓋ですね。
タイやカンボジアで川魚は海の魚と違って生きたまま、あるいは蒸したり干物にして売っていました。日本でもドジョウやうなぎは、1960年代までいわゆる魚屋さんではない店で、生きたまま売っていました。死ぬと途端に不味くなるのでしょう。だからこんな形の蓋を使っているのでしょう。そうなると、あの竹の棒をくっつけて浮かしている魚籠は何だという話になりますが(笑)。
「蓋がないよ」と言うと、さっとほかの蓋を取ってくれるのはタイ人らしいです(笑)。数として蓋が足りないわけですが、文句を言わない客(観光客とか買うかなぁ?)には蓋なしで売って、最後に蓋がないのばかりになったところでどうするかを考えるのかもしれません。
確かにウナギ屋さんの店裏では、水をチョロチョロ出しながらウナギが生かされた状態でたらいに入っていますね~。鮮度が命なんですね。
返信削除竹の棒付き魚籠、下の方スレスレしか水に浸からないので、魚にとってはよろしくないですね。棒の取り付け位置を間違えた失敗作だったりして(笑)。
hiyocoさん
返信削除たぶんどれも川魚用の魚籠、私も小さいころフナなんか釣るとき、魚籠は水の中でした。
あの、竹の浮き付き魚籠は本に載っていたものだけど、タニシか何か別のものを獲ったのかもしれませんね。あるいはカエルとか(笑)。でもカエルなら田んぼで獲るから水に浮かべる必要ないので、違いますか。
昔、駅の近くには市場が必ずあって、入ると小さな店がコの字型に並んでいました。肉屋、八百屋、乾物屋などあって、鶏肉や卵はかしわ屋で売っていて、ドジョウ、シジミ、うなぎなど売っていた店ではほかに何を売っていたか、ちょっと思い出せません。で、新婚のころ、雪が谷大塚の駅前の市場でドジョウを買って鍋をつくったら、骨がごつごつ当たって、全然美味しくありませんでした(笑)。