2021年12月18日土曜日

歯医者さん

しばらく前にM+Mちゃんの家で、改築完成祝いの集まりがあったとき、Mちゃんが、
「ところで、歯医者さんはどこがいい?」
とみんなに訊きました。
集まっていたのは、改築工事をした大工のS組(夫婦)と家具の扉をつくった木工のKさん、そしてS組を紹介した私たち夫婦でした。
みんなが八郷の「A歯科」はいい歯医者さんだと紹介しましたが、
「悪く言っている人もいるんだけど」
という一言を、誰かがつけ加えるのも忘れませんでした。
数年前、私はOちゃんから連れ合いのNさんがA歯科で歯を抜いたら腫れて大変だったと、A歯科をさんざん悪く言っているのを聞いたことがありましたが、なんとほかの人たちもそのことを知っていたのです。Oちゃんはいったいどれだけ言いふらしているのでしょう?


私は小さいころから、歯医者さんとは切っても切れない生活をしてきました。
住む先々で歯医者さんのお世話になりましたが、いつも満足できる歯医者さんに出会えるとは限りません。というか、満足できる歯医者さんに出会えるのは、まれでした。
ガーナの地方都市で、顎の骨格が小さいためか、出る場所が見つからないのに無理やり出てきた親知らず(奥歯)が次々と痛んで、2年いた間にとうとう4本とも抜いてもらったという悲惨な経験をしたこともありました。当時その地では、材料も器具もなくて、歯が痛くなったら抜く以外ありませんでした。
外国で暮らすとき、病気は保険が利きますが、歯の治療は保険が利きません。タイのバンコクで暮らしていたとき、タイ人の話によると歯の治療費はけっして高くないのに、外国人がが行くような歯医者では治療費が高すぎるのに憤慨して、町で看板を見て、英語のまったく話せない、タイ人しか行かない歯医者さんに行ったことがありました。
居間の片隅のような狭いところに治療椅子が置いてあり、散らかっていて、治療中も幼児が足元をちょろちょろしていたその歯医者さん。へたくそなのに治療費だけは足元を見て、外国人の行く歯医者さん並みに取りました。


というわけで、少しは歯医者を語れるほどの経験をしてきたのですが、その中でもA歯科は一二を争うほどよい歯医者さんです。技術もいいし、勉強熱心です。
という話をMちゃん(♀)にしたら、Mちゃん(♂)が、
「僕の人生で一番は、「バンコク歯科」だ。ハワイでもアメリカでも歯医者に行ったけどバンコク歯科が最高だった」
と言います。
「えぇぇっ、バンコクにそんないい歯医者さんがあったの?」
M+Mちゃんとは1980年代初頭にバンコクで出会ったのですが、彼らはその後ハワイやアメリカ本土に住み、1990年代には数年バンコクに住んでいました。バンコク歯科はきっとそのころできた歯医者さんでしょう。私が住んでいたころにあれば、外国人の間で評判にならないはずがないからです。

私がA歯科を文句なしの一位に上げない理由は、カンボジアの「パリ歯科」が、同じくらいよかったからです。
プノンペンに住んでいたとき、2本か3本に渡って被せていたものが取れてしまいました。同僚に評判を訊いて、パリ歯科に行くと、
「被せていたものを持ってくれば安くできたけれど、失くしているので900ドルかかりますが、どうしますか?」
と訊かれました。背に腹は代えられません。治療してもらうことになりましたが、月々500ドルで暮らしているのだからそんなお金があるわけもなく、日本からお金を持ってきてもらいました。
治療費は、私の歯医者遍歴中最高でしたが、治療はとても満足のいくものでした。院長さんはフランス人ということですが、私の治療をしてくれたのは、若いカンボジア人でした。
その後、もう一度別の歯の、日本で被せたものが取れたときは、しっかり取れたものを持って行ったのですが、簡単なものだったとみえて、
「今回は古いものは要りませんよ」
と言われて、安い値段で新しい被せものをつくってくれました。それも長持ちするとても上手な仕上がりでした。


さて、しばらく前から、下の前歯の1本がぐらぐらしていました。
柿など硬いものを食べるときなど、この歯を使わないようにしていましたが、やっぱり看てもらおうと、A歯科に予約を入れました。通常は定期検診のはがきをいただいて、少なくとも半年ごとには訪れ、歯石を取ってもらったり悪いところがあれば治療してもらったりするのですが、このコロナ禍で、1年もご無沙汰していました。
椅子に座ると、歯科衛生士さんから
「うがいしてください」
と言われました。
前は座ってすぐはうがいしなくてよかった、コロナのせいかなと思い、うがいのコップを手に取るとうがい水が青い、ただの水ではなくなっていました。これもコロナ対策でしょう。
うがいして待っていると、歯医者さんがいらしてびっくり。おでこに金属の鉢巻きをはめ、額の真ん中から飛び出した棒の両方にはレンズがついています。もともと、近眼なのか眼鏡をかけていらしたのだけれど、老眼がはじまったのかもしれません。コロナの前からマスクをしていらっしゃったので目しか見えなかったのですが、その目が物々しいことになっていました。
1年ご無沙汰していると、いろいろ変化があるものでした。

ちなみに、私の顎の骨は小さいので、下の前歯2本は並びきれず、ちょっと引っ込んで、しかも折り重なるように生えています。抜くしかないのかと暗い気持ちでいると、
「2本くっつけて動かないようにして、動く歯の上をちょっと削って、かみ合わせた時に上の歯と当たらないようにしたら噛みやすくなりますが」
と言われて、一も二もなく賛成し、あっというまに治療が終わりました。
「これで問題があるようだったら、もっと根が深い糸切り歯とブリッジするようにしましょう」
よかった、レントゲンで見ると骨が痩せているようなので根本的に解決したわけではありませんが、当分安泰です。







 

2 件のコメント:

  1. 確かに先日久しぶりに歯のクリーニングに行ったら、最初のうがいの水が青くてびっくりしました。
    最高の歯医者さんはカンボジアの方ですか!手先が器用そうですね。
    年を取ると誰でも入れ歯になるんでしょうか?自分が入れ歯とか想像できません。

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  2. hiyocoさん
    今はインプラントに差し歯が増えているのでしょうか?私は脚立が倒れて背骨を圧迫骨折してから、骨粗しょう症の薬を飲まざるを得なくなったのですが、その薬を飲んでいると、インプラントは危険でできないそうです。左の歯は結構なくなっているので、そのうち入れ歯をしなくてはならなくなるかもしれません(涙)。

    カンボジアの村のおばあちゃんたちはほとんどが歯なしでした。歯なしでも食べられるんですね。
    ラオスのおばあちゃんは長い髪が優雅、タイのおばあちゃんには散切り頭がわりと多い、カンボジアのおばあちゃんは家族の喪に服すためつるつる坊主にしている人がほとんどでした。歯がなくて坊主頭のおばあちゃんたちがお寺に集まる仏縁日などは壮観でした。かわいかったけどね(笑)。
    そんなカンボジアの歯医者さんですが、パリで修業したのか、見事でした。お金がないと掛かれませんけどね。

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