磁器のキューピーです。
ローズ・オニールのキューピーと呼ばれるものです。
Woman’s Home Companionの1913年5月号の表紙 |
1874年にアメリカのペンシルベニアで生まれたローズ・オニール(-1944年)は幼少期から画才を発揮し、長じてイラストレーターとなり、1909年にキューピーを誕生させました。
紙の上で人気を博したキューピーは、ローズ・オニールの依頼で、ドイツのオールドルフで、ビスクドール(磁器人形)として制作されました。世界で初めて、立体としてのキューピーが誕生したのです。
さて、1980年代も終わりごろのことですが、通勤で毎日通る坂道の途中に、西洋の古いおもちゃのお店がありました。
めったに店を開けていない、商売気のまるでない店でしたが、ある日珍しく開いていたので入ってみると、店内は珍しい西洋のおもちゃであふれかえっていました。その中に、3体の磁器のキューピーもいました。
気難しそうな、客などまったく気にしていない店主に、おずおずと値段を訊くと、とても高価でした。買えない私は、ただキューピーたちを手に取って見ているばかりでした。
天使の羽はなかなか面白いところに生えています。
背中には、1913年にパテントを取ったというシールが貼られていました。
そしてその上に、よく見ると割れて修復した後がありました。
「あらっ、これ割れています」
と思わず言うと、どうせ冷やかしだろうとカウンターの中から出て来もしなかった店主が、血相を変えてやってきて、私の手からキューピーをもぎ取りました。
店主の悔しそうな顔、仕入れたときにそのことに気がつかなかったことで、店主は自分をののしっていました。そして、割れたキューピーを半額にしました。
まっ、割れていてもかわいいからいいかと、半額なら買えた私は、購入したのでした。
キューピーですから裸でいいのですが、母の長じゅばんで肩で結ぶ着やすい服をつくって着せました。
裸だと目立たないのですが、縮緬の服を着ると、ぷっくり膨らんだお腹が目立ちます。
ローズ・オニールのキューピーには、目が左ではなく右を見ているキューピーもあれば、復刻版もありますが、私は我が家のキューピーが気に入っています。
「ローズ・オニールのキューピー」の存在を初めて知りました。
返信削除なんて可愛いのでしょう!上目遣いや天使の羽もたまりません。
傷を負ったお陰で、落日荘のメンバーの一員となったのですね。
reiさん
返信削除そう言えばそうでしたね。割れてなかったら我が家には来ていませんでした。
私はどうして知っていたのかしら?本などで見たことがあったのだと思います。出逢ったとき、「これかぁ」と思って見入ったので。
キューピーばかりに目が行って、じつはその時、他には何があったか、まったく覚えていません(笑)。店主は本も書かれていたような人ですが、お店は閉店続きで、わりとすぐなくなってしまいました。