2022年10月25日火曜日

ガラスの箱、貝の箱


 土間入り口のガラスケースの写真を見て、夫が、
「それは、おれがフィリピンから買ってきたやつか?」
と訊きました。
「いや、タイで買ったものだったと思うけれど」
ガラスを金属でつなぎとめた箱や飾り棚を、大小いろいろ持っていましたが、人にあげたり、何度も引っ越しをしているうちにガラスが割れたりして、今ではこの棚と小さな箱が2つ残っているだけです。


これほど大きいものは珍しく、変形六角形の全面が扉になっていて、開けることができます。また、背面は鏡になっています。
これも2つありましたが、1つはガラスが割れてしまい、泣く泣く廃棄しました。


もともとは、窓などをつくると板ガラスのかけらが出て、それを捨てるのがもったいないのでつくりはじめたものかもしれませんが、なかなか大変な技術です。


小さい箱をつくるのは、そう難しくないかもしれません。
でも大きなものとなると、ガラスは欠けやすいし、重量も出てくるので、それを細い金属できれいに留めるのは、難しそうです。


フィリピンで採れる貝、カピス(Placuna placenta)の箱も同じような工法でつくられています。
これは、間違いなく夫のお土産でしょう。


カピスの細工ものはフィリピンではたくさん売られていて、風鈴のようなものがもっともポピュラーですが、昔は生活に使われたようです。

「益子参考館」の一番奥にある茅葺きの建物の益子参考館上台は、かつては浜田庄司邸の離れでした。上台は、益子の高野家母屋を買って、昭和17年に移築したものです。
ずっと前に益子参考館に行ったとき、上台の勝手口入り口近くに明り取りの窓があって、そこにカピスがはめ込まれているので、びっくりしたことがあります。
その時は、豪農ってすごいなと思ったのですが、今考えればカピスの明り取りは元からあったものでなく、浜田庄司がフィリピンの伝統的なカピスを使った戸を見て、取り入れたものだったのかと察せられます。


写真はフィリピンのスペイン統治時代のコロニアル・ハウス(植民地様式の家)の、カピスを使った窓です。


益子参考館上台のカピスの明り取りは、小さくてささやか、茅葺き屋根に馴染み切った、素適な明り取りでした。








2 件のコメント:

  1. ガラスの箱とカピスの箱、どちらも素敵です!金属との組み合わせがいいですね。

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  2. hiyocoさん
    ガラスは3㎜くらいの厚みがありますが、カピスは1㎜もありません。
    何気なく見てしまいますが、作るには根気と焦らない心が必要でしょうね。それにしてもよく思いついたものです。

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