2024年6月24日月曜日

笹野才蔵

今宿土人形のラインアップを見ていたら、笹野才蔵の人形がありました。

今宿人形

笹野才蔵は若衆姿で、御幣を手にした山王の猿を伴った九州北部の伝説玩具で、疱瘡からの守り神とされています。
郷土玩具の好きな私は笹野才蔵の名前を知っているけれど、今どきの福岡あたりの人たちは笹野才蔵の名を知っているのでしょうか?

古型博多人形

かつて、九州北部では天然痘が流行るたびに、笹野才蔵の土人形が家々に祀られました。また、笹野才蔵の名を記したお札が家の入口に貼られました。

古型博多人形

笹野才蔵は、節句人形同様、高い需要があったので、博多、今宿、津屋崎など各地の窯元でつくられました。


左はどこのものか不明ですが、もしかしたら古い博多人形、右は津屋崎人形です。


博多祇園山笠にも笹野才蔵を描いたものがあります。
「猛将才蔵去退病」の札があり、てっぺん近くに若衆姿の笹野才蔵の姿が見えます。そして、笹野才蔵とは戦国の武将、槍の名手だった可児吉長のこと、中段の長い槍を持っている武将も、下の馬に乗る武将もまた、笹野才蔵です。


我が家にもずいぶん前から、笹野才蔵がいます。
今宿の笹野才蔵は知り合いによく似ているのですが、我が家の笹野才蔵もまた、友人に似ています。


中ノ子勝美さんの作です。
博多人形は、時代の移り変わりとともに、美術工芸品を意識した現在の博多人形への流れを選択してきましたが、創始者の一人の中ノ子家では創始当時の趣を残した素朴な土人形をつくり続けてきました。特に4代目の勝美さんは古い型を復活させ、古型博多人形師を名乗りました。


御幣を持った山王の猿は、顔が赤いこともあり、笹野才蔵同様疱瘡除けとされていますが、このお猿さん、御幣を持っていません。

笹野才蔵を画像で検索していたら、やはり詐欺サイトと思われるようなものがいくつもありました。
ご用心、ご用心。






 

3 件のコメント:

  1. 不明の笹野は、ご明察のように古博多で讃井清兵衛型のようです。
    佐土原にもあるようで、一度見たと思うのですが印象が薄いです。
    曲がりなりにも、赤坂にもありました。
    中ノ子さんは、博多伝統の笹野才蔵に力を入れておられましたが、
    現在の一般市民には全く忘れられていると思います。

    今は優美な作品を鑑賞するばかりの私達ですが、
    昔の人にとって、疱瘡(天然痘)は想像を絶する脅威だったでしょう。
    テロリストによってサンプル菌が流失しないことを願います。

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  2. 茶々丸さん
    疱瘡は天然痘だけでなく麻疹(はしか)なども入っていたのかしら?時代小説を読むと、疱瘡に罹ったらひたすら熱が下がるのを待つしかない、それにきょうだいなどで罹った場合、たいてい後から罹った者の方が重くて、親はやきもきするなどという描写が出てきます。
    感染症などは昔の病としか思ってなかったのに、今回の新型コロナでは世界中が震撼としましたね。しかもアマビエなどというものまで流行りました(笑)。笹野才蔵や赤物が必要とされたのは、ただの迷信と言って片づけるわけにいかない、親たちにとっては大切なよりどころだったと思います。

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  3. 茶々丸さん
    そういえば、赤坂の笹野才蔵は私も見たことがあったような。
    あれだけぶっ飛んでいると楽しいですね。赤坂土人形の窯元はお菓子屋さんもやっていたかしら?遠い昔のことで忘れてしまいましたが。窯元を訪ねたときに買った獅子被りは、ものすごい金歯が気に入っていたのに、経年で色褪せてしまいました(笑)。

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