2024年9月8日日曜日

多田敏捷さんの本

『おもちゃ博物館』(多田敏捷編、京都書院、1992年)は全24巻、当時大人気だったブリキのおもちゃをはじめとして、あらゆる子どものおもちゃを網羅し、「玩具で見る日本近代史」という巻まである、おもちゃコレクターの多田敏捷さんのコレクションを紹介する渾身の(というかマニアックな?)大型写真本です。
私は数冊しか持っていませんが、それでも本を開くと膨大なコレクションが押し寄せてきて、1941年生まれの多田さんはいったいどんな子供だったんだろう、そしてどんな大人となっているんだろうと、想像せずにはいられません。

現在、多田さんのコレクションは大阪府の有形民俗文化財に指定され、大阪府が買い上げ、「多田コレクション」として国立民族博物館に所蔵されています。


まず、「ままごと遊びと水物玩具」の本から。


買ってもらったことはないけれど、私が小さいころ、ままごと道具や砂場おもちゃは紙の箱に糸で縫いつけてあるのが定番でした。


この砂場おもちゃ、なんときれいな品々なのでしょう!


金魚たちも素敵です。


さて、「めんことビー玉」の本は失敗でした。


というのは、「めんことビー玉」という題名を見て、ビー玉のことを知りたいと思っていた時、ネットで注文したのですが、めくってもめくってもめんこのことばかり。ビー玉の写真は最後の3ページしかありませんでした。


ビー玉は、古代エジプトで生まれ、ヨーロッパに広がり、フランスからカンボジアにも紹介され、カンボジアの子どもたちはとくにお正月に、モダマでビー玉遊びに興じていました。日本には明治の初めにヨーロッパから泥玉(写真の左下)が紹介されて広まっています。
ちなみにめんこのページは写真だけで39ページ、参考文献もほとんどがめんこに関するものでした。


「縁日と駄菓子屋の玩具」の巻は、余り駄菓子屋に縁のなかった私には、目を見張るものがありました。


この豪華さ、多田さんは店ごと買ったのかしら?


見る写真、見る写真、すごい!
2つ上の写真の左上の箱には何が入っているのか? 応えは、上の写真の右下、セルロイドのかわいい椅子です。


どのページからも、多田さんのわくわくが伝わってきます。


面白いのは、駄菓子屋で売っていたといううちわや扇子でした。
すっかり忘れ果てていますが、大都会のデパートくらいしか冷房のなかった時代、大人だけでなく子どもたちにとっても扇子は必需品でした。私も何本も持っていたし、修学旅行で買った記憶もあるし、学校の教室で扇子とハンカチがないと、困り果てる結果となりました。
ハンカチがぐしょぐしょに濡れて使いものにならなくなったら、顔の汗をセルロイドの下敷きで額の当たりから顎のあたりまでしごき落としたりもしていました。


多田さんのコレクションの本は、文庫本もあります。
私は大型本『おもちゃ博物館』の人形の本も着せかえ・ぬり絵の本も持ってないので確証はありませんが、『駄菓子屋のおもちゃ』は『おもちゃ博物館』の内容の文庫版化なので、おそらく『人形』の内容も同じと思われます。


ぴょんぴょん駒の動物版も載っていて、ぴょんぴょん猫などと説明されています。


戦前のぴょんぴょん駒


そして戦後、1970年代のぴょんぴょん駒。
針金のバネが格段に進化しています。






2 件のコメント:

  1. ぴょんぴょん駒が進化していますね。最初の猫のはバネが雑で可笑しいです。

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  2. hiyocoさん
    そう、熊のバネなんて、素人仕事そのものです。材料費もケチっているし(笑)。

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