2024年11月9日土曜日

追悼展は終盤です

織物の先生、近藤由巳さんの追悼展が残すところ今日と明日の2日間となりました。
近藤さんが染めた羊毛は、最初用意したものがすべて売れて、追加を袋詰めして届けました。作品も大半が売れました。
最後の生徒であるKさんとSさんと3人で、
「作品が売れるのは嬉しいけれど、なんだか寂しいね」
と話していました。というのも、羊の毛を洗って、梳いて、染めて、糸に紡いで、織り機に掛けて、織って、仕上げてと、その工程の長さと手間を身をもって知っているからです。

遺されていた作品に加えて、以前の展示会で作品を買ってくださった(近くに住む)人たちが、展示に協力して貸し出してくれました。そんな作品は最終日まで展示できるので、会場が寂しくならないですんでいます。


この、Nさんが5年前に買ったポンチョはリバーシブル(昼夜織り)で、左右と真ん中の細いバンドは別につくって綴じつけたものです。バンドには近藤さんの好きだった魚模様があしらわれ、色も形も素敵で、一番印象に残っている作品でした。
教室に通い始めてから、
「あのポンチョはもう売れてしまったの?」
と近藤さんに訊いたところNさんが買ったということ、ではまたいつか見る機会もあるだろうと思っていたら、思いがけず早くに、お目にかかってしまいました。


これは昼夜織りのショールで、裏と表では色の出方が違います。売れました。


細いマフラーですが美しい。撚りを強くかけた糸で織り、織り機から外して仕上げ処理をすると縮んで、このようになります。昔の縮緬と同じような仕上げと考えていいのかしら、もともと広く長く織ったものなので、ゴムのように伸びます。
もっとも、糸を細くきれいに紡がないと、繊細な雰囲気を出すことができません。


厚手のマットは、両端の布は昼夜織りで、真ん中に細いバンドをはさんで、縫い合わせてあります。
テーブルクロスにするには厚みがありすぎるけれど、固い椅子の座布団にはもってこいのもの、左上にはフェルト加工の座布団も見えます。


これは細い糸でつくった、魚模様のバンドです。


何もかも売れてしまったら寂しいので、結局私はこのショールを買うことにしました。残っていてよかった、これも昼夜織りで表と裏では色の出方が違います。ショールをまとうような優雅な生活はしていませんが、月末には再婚式に招待されているので、羽織って出かけてみましょうか。
近藤さんが手をかけた作品を1つ手に入れられてよかった。実は気に入ったのが3つあったのですが、奇跡か? 3つとも残っていて、どれにしようかとちょっと迷いました。






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