牛久のGallery一乃望に大田黒摩利さんの日本画展を観に行ってきました。
ナビを頼りに、牛久沼が見え隠れする入り組んだ道をたどって一乃望に行きついたのですが、
「あ、ここは一色さんの家じゃないか!」
「本当だ!」
一乃望は、彫刻家一色邦彦さんの自邸で、酒屋さんだった古民家を移築した棟が、息子の直彦さんによって改装されてギャラリーになっていました。
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LIXIL出版、1998年 |
この古民家は、名棟梁と言われた田中文男さんが移築したものです。
田中棟梁は、この家に必要以上に電気を引いてはならない、エアコンは使ってはならないと言い残したそうですが、ギャラリーに改装するにあたって、田中棟梁のお弟子さんが玄関をつけ足し、玄関には展示物が映える照明器具が設置してありました。
写真の部屋は、もとは土間だったと思しき部屋で、その先が玄関になっています。障子を出て右に行くと「部屋」が、その奥に「座敷」があり、南から西へと縁側が回っていて、西の木々の奥に牛久沼が眺められます。
この部屋の照明器具は、古い籠ですが、ちょっと考えても大きすぎて用途不明の籠。もしかしたら酒屋さんのころから照明器具として使われていたものかもしれません。
大田黒摩利さんの日本画はどれも素敵でしたが、死んだ鳥を描いた水彩画が何枚もあり、とても興味深いものでした。
練習のためにいろいろな鳥を描かれたようでしたが、どれも素晴らしい!
そして、絵には本当の羽が貼りつけてあるものもあって、どこの羽か番号で示してありました。雉はなんてきれいな羽を持っているのでしょう!
ほとんどの鳥は、友人たちからの知らせてで手に入れたのもので、この雉も、交通事故に遭ったのか道端で雉が死んでいるとの知らせに駆けつけてもらい受けたものだそうです。鳥インフルエンザが発覚してからは、死んだ鳥をつぶさに描くという楽しみはなくなってしまったそうですが。
写真はないのですが、カラスの鼻の穴を羽が覆っている絵がありました。おそらく、カラスは死骸など腐ったものもつつくので、鼻の穴から黴菌が入らないようにできているのだろうということ、キツツキ類も木くずが鼻の穴に入らないよう、鼻の穴が覆われているそうです。自然の摂理はおもしろい!
さて、久しぶり(3年ぶり)に一色邦彦さんのお連れ合いにお会いして、昔話に花が咲きました。一色さんご夫婦と私たち夫婦は同窓で、学年も学部も違うのですが、少人数の学校なので共通の知人がいたりします。
残念ながら邦彦さんは2年前に他界されました。
2020年12月にお訪ねしたのにブログにはUPしてなかった、邦彦さんのアトリエの写真です。
大きな作品群は圧巻でした。
具象で大きな作品をつくったのは邦彦さんたちが最後の世代になるとか、広いお家にはたくさんの作品が展示されていましたが、今後、作品が一堂に見られるように整備されて、美術館として見ることができるようになるそうです。
これは試作、本物はブロンズでつくられたものと聞きました。
邦彦さんの息子の直彦さんは日本画家、そして大田黒摩利さんは直彦さんのお弟子さんという関係でした。
すごい繋りですね(笑)。キジの絵が素敵です。
返信削除確かにカラスの嘴の根元は羽で覆われていますね。あの下に鼻の穴があったのか!
hiyocoさん
返信削除知らない間につながっていました(笑)。
鳥の死体の写生、どれもすごかった、細部まで描き込んでいて、立体的に見えました。鳥の羽、場所によって違った羽が生えているくらいはなんとなく知っていましたが、細かく分かれてその場所に最適な羽が生えているんですね。すごいというか、なんというか。
『オオコウモリのにぎやかな よる』(かがくのとも6月号)を買ってきましたが、沖縄にいる大きなコウモリの興味深い本でしたよ。