2010年10月12日火曜日

小さなもち米入れ



ラオス、タイ東北部・北部に住む人々の使う、一人用の小さなもち米入れです。
蓋が深くてしっかり閉まりますから、蒸したもち米を入れておくお櫃としてだけではなく、お弁当箱として持って出かけるのにも便利なものです。
ラオスや、タイ東北部・北部の人々は、蒸したもち米を常食しています。伝統的には朝一度だけ蒸して、それをお昼と夜にも食べます。地域によって、家庭によって、いろいろなもち米入れがあります。

この籠にもち米だけを詰めて出かければ、おかずはなんとかなります。どこかで新鮮な草や木の葉を摘んで、別に持っていった魚醤とトウガラシを混ぜたものに浸しながら食べればいいからです。




タイ人のことを、「葉っぱ食い」と呼んだ人がいました。木の葉も草の葉も、どの葉が食べられるか、みんなよく知っています。食卓には、毎日のように違う種類の葉っぱが並びます。

来日したタイ人たちとともに、三重県の棚田を見学に行ったときのことでした。お昼になると、お弁当があるのに、彼らは田んぼの周りからいろいろな草の葉を集めてきました。中に、イヌビユがありました。
「あら、イヌビユが生で食べられるの?これを見たことがあったの?本当に食べられるの?」と、心配顔の私を尻目に、彼らは魚醤にトウガラシ粉を山ほど入れたタレに浸して、おいしそうに、悠々と食べていました。
マレーシアの熱帯林の中でのことも忘れられません。ふと見ると、元同僚のタイ人が、生のキノコを食べながら歩いていました。「まあ、毒キノコだったらどうするのよ!」と、あわてる私に、彼は、「このキノコで死ぬようなら、ぼくはとっくに死んでいるよ」と、気にもしません。タイとマレーシアには、似ていても同じキノコが生えているとは思われませんが、彼は食べられるかどうか、感がよく働くのです。

そういえば彼は、タイで学生運動が弾圧されたとき、森に逃れたつわものたちの一人で、罪が問われないことが発表されるまでの5年間、森に潜んで暮らしていました。しかも、戦闘員ではなく、食料調達員だったのです。
私の熱帯の植物の知識は、もっぱら彼から習ったものです。

この編み目のつんだ籠は、タイ北部の山地民のものです。この形の籠は、お弁当として持って歩くのに、丸型より、ずっと持ち易そうです。




どうやって編むのか、よくわかりませんが、身も蓋も二重になっています。つまり、縁が「わ」になっています。




極々最近つくられたもので、市場で安く買えるものでも、しっかりと編んであります。




毎日使わないで、飾っておくだけだと、外は陽に焼けても、中はまっさらなままです。竹でできていて、最初は硬い感じですが、使っていると、すべすべになって、どんどん素敵になります。


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