2011年2月7日月曜日
水汲みの壺
エチオピアは高原の国です。
ナイル川の源流のタナ湖から、スーダンへと青ナイルが流れていますが、他には川らしい川がありません。雨期に大雨が降ると、森林が少ない(国土の3%)ので土にしみ込みにくい水は、いっときあちらこちらで川をつくりますが、すぐに流れ去ってしまいます。
大都市で暮らす人々を除いて、人々は生活用水として、ところどころに湧き出ている泉の水を使っています。
エチオピアの人は、定期市にものを売買に行ったり、畑に行ったり、山羊を追ったりと、数十キロも歩くことは厭いません。また、テーブル台地で、土地の起伏が激しいので、1000メートルほどの標高差を上り下りすることも日常的です。それでも、重い水を背負って歩くのは、たいへんな重労働です。しかも、水汲みは女性だけの仕事です。
森林が少なくて、雨の土壌への浸透が少ないため、あちこちで泉が枯れてしまいます。すると、遠くの泉へと水を求めて行きますが、みんなが集中して使えば、泉が枯れる速度も速いという、悪循環を断ち切れないでいます。
おおげさではなく、一日数往復の水運びに、人生の大半を費やしている女性も少なくありません。
水汲みには、素焼きの壷を使います。
これは、水運びをはじめたばかりの、小さな女の子用の壷です。高さ29センチ、3キログラムあります。
おとなの女性が運ぶ水の壺は、高さが子どもの壺の倍くらいあります。水が入っていないときでさえ、ずしりとする重さです。
水汲みには誘いあい、連れ立って行きます。そして、一人では持ち上げられないほどの重さになった壺を、背中に乗せ合います。紐は胸か額にかけます。
ただでさえ、胸にかければ紐は腕に食い込み、額にかければ首が痛くなりますが、4キロも5キロも歩いて、運ばなくてはなりません。
森林を増やす以外、どんな解決方法があるでしょうか?しかもほとんどの土地は耕地として利用されていていて、人々はかつかつ、口に糊しています。
紐はサイザルの繊維でできているのでしょう。
エチオピア南部には、サイザルのプランテーションがあります。
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