2011年6月20日月曜日

籠目の籠





カゴメの籠です。
華奢に見えますが、細いひごが一本や二本竹が折れてしまっても、ばらばらになったりしません。
この籠は、もう三十年以上、我が家で使っている籠です。




なんとなく、シンプルなカゴメの籠は日本固有のものだと思っていました。

昔の絵巻物にも、カゴメの蛇籠が描かれていたり、着物の意匠にも数多く使われています。




カゴメ模様は魔除けの意味もありました。だから着物にもよく使われましたし、犬張子は、子どもがすくすく育つようにと、魔除けのカゴメの笊をかぶっています。

カゴメ編みは、もとをたどれば中国大陸から来たのでしょうか?




というのは、タイでも見かけたからです。
ただ、タイでカゴメの編み方が使われているのは笊ではなく、織物の道具だったり、




儀礼にさいしての高坏だったり、ざっとつくって使い捨てる、果物の包装に使う籠だったりしました。




また、籠がさや、




お皿にかぶせて使う蝿帳などのように、軽く仕上げたいものにも使われていました。




タイのカゴメ編みで、ものを入れて使う籠となると、日本のシンプルなカゴメの籠とは比べものにならない、手の込んだ複雑な編み方のものがあります。
この細かい細工は、タイの誇るものですが、オリジンはやはり中国とかヴェトナムではないかと思われます。




そんなカゴメの籠ですが、『暖炉の火のそばで。ターシャ・テューダー手づくりの世界』(マーティン&ブラウン著、メディアファクトリー、1996)に、ターシャ自身がつくったというカゴメの籠が載っていてびっくりしました。

この籠は、チーズをつくるとき使ったと説明がありますが、ちょっと不似合いというか、違和感を覚えてしまいます。
生活のすべての過程で伝統を重んじたターシャが、伝統的なヨーロッパのチーズ漉しではなくて、なぜカゴメの笊を使ったのか、不思議な気がします。




『暖炉の火のそばで。ターシャ・テューダー手づくりの世界』には、一番最初の目次のところにもう一つ、小さいカゴメの籠が載っていますが、こちらには説明がありません。




こんな籠や、




こんな籠をつくって、使っていたということは、すぐに納得できるのですが。
それにしても、トネリコの木を採集するところからつくったというターシャ、お見事です。





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